「省エネ住宅」「ZEH」「スマートハウス」など、最近よく耳にしますが、それぞれの違いを理解できているでしょうか。

省エネ住宅にすることは家計にも環境にも良さそうというイメージがありますが、そもそもどのようなメリットがあり、注意すべきことはなにかを理解することからはじめましょう。

この記事では省エネ住宅について種類や昨日の基本的なことから、メリット、デメリットについて解説します。

省エネ住宅とは

省エネ住宅とは、経済産業省の省エネルギー庁によると「暖冷房のエネルギー消費を抑えられる住宅」のことと定義されています。

ただ、昨今では照明や給湯、家電などの消費エネルギーにも基準が設けられるようになったため、消費するエネルギーを抑えた住宅のことを指すようになりました。

ZEHとは

ZEH(ゼッチ)とは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語であり、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味です。

1年間で消費するエネルギーの量を、太陽光パネルなどによる自家発電で創るエネルギーを活用することで、実質的にゼロ以下にする、ということです。

昔と今の住宅と今後

時代が変われば住宅も変わります。

日本の住宅は昔と今でまったく異なり、さらにこれから主流となる住宅も今とは違うものです。

それぞれの時代ごとの家についてみてみましょう。

昔の家

昔の家(昭和55年の省エネ基準相当)は、断熱性や気密性が低いため、エアコンで室内を暖めたとしても、熱が外に出て行きます。

そのため、リビングやキッチンなど普段過ごす時間の長い空間が寒いことはもちろん、廊下やトイレはさらに寒いことが当たり前でした。

今の家

今の家(平成28年省エネ基準相当)は、昔と同じ気候条件下であっても、断熱性能が格段に向上しており、熱を逃しにくい設計となっています。

室内も暖かく感じられるようになり、冷暖房費でみても昔の家より4割から5割削減できるようになっています。

今後の家

今後の家(平成28年省エネ基準相当を上回る家)は、さらに断熱性能が向上することから、冷暖房に使用するエネルギーの大幅な削減が可能となります。

また、暖房もより効率的に行えるようになることから、住み心地も格段によくなるでしょう。

室内が満遍なく、どこでも暖かくなることから、冬場に多いヒートショックなどの危険な事故のリスクも減ることが期待されています。

住宅の省エネ機能

具体的に、省エネ住宅に期待される機能について理解しておきましょう。機能は主に、断熱、日射、機密の3つです。

断熱

断熱とは、読んで字の如く「熱の出入りを少なくする」ことです。

住宅の壁や床、天井などに断熱材を敷き詰める、あるいは二重窓にするなどが、主な断熱対策となります。

「外皮平均熱還流率(UA値)」という指標があり、断熱性能を評価する基準となります。

このUA値の数字が小さいほど熱が逃げにくい、つまり断熱性能が高いということがいえるため省エネ性能も高い、ということです。

参考記事:カーテンで窓の寒さ対策!冬の室内暖房の効率化について解説

参考記事:なぜ戸建ての二階は暑いのか?原因と対策方法をご紹介!

日射

夏の場合、窓からの日射によって、室内の温度が上昇してしまいます。逆に言えば、この日射をコントロールできれば冷房の使用効率を改善できます。

住宅の日射を遮蔽する性能は、「冷房期の平均日射熱取得率」で示すことができます。

これも数値が小さいほど、省エネ性能が優れているということです。

参考記事:窓から差し込む西日対策!室内を快適にする効果的な方法をご紹介

参考記事:窓際が暑くなる原因は?適切な遮熱対策をしてエコな暮らしをしよう

気密

住宅に隙間があると、そこを通じて空気が出入りし、熱が室内外を移動します。

この隙間を減らすことが気密対策であり、優れている住宅は冷暖房の使用効率が向上します。

ただ注意点として、気密性能は高ければ高いほどいいわけではありません。なぜなら、一定の換気が行えないと室内環境が悪化してしまうからです。必要な換気量を確保することも重要です。

参考記事:冬は寒くなる家の理由とは?高気密と高断熱の家づくりで年中快適に

住宅の省エネに関する基準

住宅の省エネに関する基準には、「住宅の省エネルギー基準」、「低炭素建築物の認定基準」、「住宅トップランナー基準」の3種類があります。

それぞれについて解説します。

住宅の省エネルギー基準

建築主に対し一定基準以上の省エネルギー性能を実現するように努力義務を課しているのが、住宅の省エネルギー基準です。

具体的には、外皮性能と使用エネルギー量の二面から住宅の省エネ性能を評価します。

また、日本全体を8つの地域に分け、区分ごとに基準値が設けられています。

低炭素建築物の認定基準

都市や交通における、低炭素化とエネルギー利用の合理化を促進することを目的に制定された法律に基づいて設定された基準が、低炭素建築物の認定基準です。

認定されるためには、

  • 「住宅の省エネルギー基準」で定められる一次エネルギー消費量に対し、一定の比率以上の削減がなされている
  • 低炭素化を実現するための措置を講じている
  • 標準的住宅よりもライフサイクルCO2の排出量が一定以上削減されている

ことが必要です。

また、認定されると所得税などを軽減できるようになります。

住宅トップランナー基準

「住宅トップランナー基準」では、建築主や、建設工事業者が対象となります。

分譲住宅や注文住宅、あるいは賃貸アパートにおいて基準を定め、省エネ性能を向上させるように促しています。

省エネ住宅のメリット・デメリット

省エネ住宅が今後求められる住宅のあり方であることはわかりましたが、それでもメリットとデメリットが存在しています。

あらかじめ知識として押さえておきましょう。

メリット

メリットとしては、主に3つがあげられます。

年中快適な居住空間

日本は四季によって気温の違いがはっきりしており、とくに夏の暑さと冬の寒さ、両方の気候条件下でも快適に過ごせるかどうかが大事になります。

その点、省エネ住宅では、夏は涼しく、冬は暖かい環境を実現できます。

また、冬の危険な事故のひとつであるヒートショックも室内温度の違いから起こりますが、省エネ住宅であれば年中過ごしやすい室内温度に保つことができるため、リスクを避けられます。

家計にやさしい

一般的な住宅より冷暖房を効率よく使用できるため、結果的に光熱費を節約できます。

国土交通省が試算した数字によると、平成28年の省エネ基準で、一般的な戸建て住宅(120㎡・6地域)では1戸あたり年間2.5万円の削減が可能とされています。

環境に良い

家電の消費エネルギーを抑えられるようになるということは、排出されるCO2の量も必然的に少なくなります。

それが地球環境にいいということは、言うまでもありません。家計だけでなく、地球環境にも優しいのが省エネ住宅のメリットのひとつです。

デメリット

続いては、デメリットを2つ紹介します。メリットであげた項目と比較し、検討してみましょう。

初期費用が高い

先ほどメリットのところで家計にやさしいとお伝えしましたが、一般的な住宅よりも設備投資にコストがかかるため、初期費用が高くなる傾向にあります。

しかし、長期間にわたって住み続ける住宅であることを考えると、トータルで見れば節約できる電気代は大きな違いでしょう。さらに、国も省エネ住宅を推進するためにあらゆる補助金などを打ち出しています。

そういったお得な方法も調べてみながら、最適な方法を検討しましょう。

省エネに詳しい業者を探す必要がある

補助金の対象となる施工や等級認定が受けられる住宅は、建設できる住宅会社が限られていることには注意が必要です。

過去の実績を確認するなどして、省エネに詳しい業者を探して依頼するようにしましょう。

省エネ住宅の種類

建設に際し、補助金などを受けられる省エネ住宅ですが、種類がいくつかあります。また、その種類によっては受けられる補助金も異なります。

ZEH

冒頭でも解説したZEH(ゼッチ)が省エネ住宅のひとつです。

「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略であり、高断熱かつエネルギーを生み出す設備を導入し、消費エネルギーと創出エネルギーの収支をゼロ以下にすることを目的とした住宅です。

ZEHのなかでも、ZEH+、HEMSの基準が設定されており、それぞれ補助金額も変わってきます。

スマートハウス

ITを活用し、エネルギー消費を最適化した住宅のことをスマートハウスといいます。

「HEMS」というシステムでエネルギーを管理し、太陽光発電・蓄電池・家電・住宅設備などをネットワーク化し、エネルギーを効率よく使えるように制御します。

LCCM

LCCMとは「ライフサイクルカーボンマイナス」の略語です。

脱炭素が叫ばれて久しいですが、住宅の省エネ化、建設や解体時のCO2排出を削減した住宅のことを指します。

参考記事:パッシブデザインとは?省エネを意識した住宅について解説

住宅の省エネのポイント

最後に省エネのポイントについて解説します。

冬の断熱

冬の寒い気候条件に耐えるためには、住宅全体の断熱がポイントとなります。

熱を逃がさず、室内の表面温度を下げないようにするだけでなく、気密性を向上させることで暖房効果を高めます。

同時に、室内を快適に保つためには換気機能も重要になることは忘れてはいけません。

夏の日射隠蔽

一方、日差しが強い夏に対しては、住宅全体を遮熱工法で遮りましょう。

日射の熱を遮り、室内の温度を上げないことがポイントです。

さらに、換気機能で熱を外に出す排熱と通風により、風が通りやすいようにし、室内温度が上がらないようにすることが大切です。

参考記事:日射隠蔽とは?日差しを遮るための対策方法について解説

「省エネ住宅」は次世代住宅のあるべき姿

省エネ住宅は、電気などを効率よく利用できるため家計にやさしい住宅です。同時に、電気消費量を抑えられることで、環境にもやさしくCO2削減にも貢献します。

さらに、年中快適な住み心地を実現させてくれる点も見逃せません。

初期費用で一般的な住宅建築よりもコストがかかることと、あらゆる基準を満たす必要があることはデメリットかもしれませんが、それらをクリアできればメリットの多いものです。

補助金などをうまく活用し、建設を検討してみてはいかがでしょうか?

オスモ&エーデルでは、高断熱素材を使った住宅のご提案も可能です。ぜひ一度ご相談にいらしてください。