どれだけ気を遣って丁寧な使用を心がけても、日常生活を送る上で木製テーブルや木製チェア、フローリングを始めとする木製家具に傷は付くものです。木製家具に傷やダメージが付くと、見た目や使用感に影響を及ぼす恐れがあります。

傷を付けないように徹底して注意するのがベストですが、すでに付いたものは補修する必要があります。木製家具に付いた傷の具体的な補修方法をご存知でしょうか。

本記事では、木製家具の板の構造や傷に使用する主な補修材、傷が付いたときの具体的な補修方法を解説します。記事後半では、木製テーブルの傷を補修する手順や防止する方法もあわせてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

本記事のまとめ
  • 木製家具の板の構造とは?

→木製家具は主に、下層から上層にかけて「無垢材・合板・MDF(中密度繊維板)」「塗料」「トップコート」から構成されています。

  • 木製家具に傷が付いたときの補修方法は?

→傷が付いた場合は、やすりをかけた後に、オイルで塗装するのがおすすめです。

  • 木製家具に傷が付くのを防止するためには?

→傷を未然に防止するには、「テーブルクロスやテーブルマットを使用する」「テーブル保護シートを貼る」「ガラス板を被せる」などが有効です。

 

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木製家具の板の構造とは

木製家具の傷を補修するにあたって、まずは板の構造を押さえておくことが重要です。これを理解しておくと、どの層にどのような傷があるかを具体的に把握できます。木製家具の板の構造は、主に下層から上層にかけて以下のようになっています。

  • 下層:無垢材・合板・MDF(中密度繊維板)
  • 中間層:塗料
  • 上層:トップコート

一般的に木製家具の下層は、無垢材・合板・MDF(中密度繊維板)から構成されます。

無垢材とは木をそのまま切り出した素材で、接着剤を始めとする化学製品を一切用いていない素材です。木の自然な美しさを活かせるため、建築や家具の材料に幅広く用いられています。

合板(Plywood:プライウッド)とは、木材を薄く剥いた板であるベニア板を乾燥させ、強度を高めるために何層にも重ねて接着したものです。耐久性が高い他、軽くて加工しやすい、伸び縮みが少ないなどのメリットがあります。

MDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)とは、木製製品加工時の端材や廃材などをチップ化し、合成樹脂を加えて成形した素材です。加工性が高く、材質の密度が一定で強度が安定している点がメリットです。

中間層は主に木製家具を着色する塗料から構成され、以下のような塗装方法が用いられます。

  • ウレタン塗装(水性・油性)
  • ラッカー塗装
  • メラミン化粧板仕上げ
  • ニス仕上げ
  • オイルステイン仕上げ

これらの塗装方法は、木材の種類や仕上がりの具合に応じて使い分けられています。

最上層には、トップコートが塗られています。主な使用目的は、耐久性や意匠性を高めるためです。

 

木製家具の傷に使用する主な補修材

木製家具の傷やへこみに使用する主な木工用補修材は、木工用パテやウッドフィラー、接着剤などです。テーブル表面のへこみや割れ、フローリングの傷などを自然な仕上がりにする効果が得られます。

木工用パテやウッドフィラーは、木製家具のひび割れや傷の補修に用いられる補修材です。硬化後は、切削加工や塗装が可能となるため、見た目を、ダメージを受ける前の状態に戻すことができます。

木材がめくれている場合は、接着剤を用いて貼り直しましょう。一口に接着剤といっても、素材によって最適なものは異なるので、素材に合わせたものを選んでください。

 

木製家具に傷が付いたときの補修方法

どんなに大切に扱っても、木製家具に傷が付いてしまうことはあります。傷がついてしまった際は傷のタイプによって補修方法が異なります。傷のタイプには以下のようなものがありますので、それぞれ詳しくご紹介します。

  • 表面のすり傷
  • 表面のひっかき傷
  • 深い傷やへこみ
  • えぐれ傷や欠け傷
  • 無垢材の割れ

 

表面のすり傷

表面のすり傷は、どれだけ気を付けていても使用に伴い付いてしまうものです。よほど大きな傷でない限り、使用感や見た目に影響することはありませんが気になってしまうでしょう。

木製家具に付いた表面のすり傷には、スチールウールを用います。傷の箇所をスチールウールでこすり、傷を目立たなくします。すり傷の範囲が広い場合は、ハンドパットを用いて全体を押し当てるようにして使用してください。

すり傷は表層の塗装内に留まっていることも多く、クリアラッカーなどのスプレーを吹き付けると改善する場合もあります。

 

表面のひっかき傷

爪やハサミやカッターなどの鋭利なものが接触すると、線状のひっかき傷ができます。ひっかき傷はすり傷と同様に、傷自体は浅いものが多いので、ほとんどの場合は塗装を塗り直すことで目立たなくできます。

表面のひっかき傷を補修する際におすすめの道具が、木工用補修剤のマーカーとクレヨンです。細い傷はマーカー、太い傷はクレヨンなどのように、傷の程度によって使い分けるのがいいでしょう。

補修する際は、まず周囲の汚れをアルコールで拭き取ります。きれいにした状態でマーカーやクレヨンを塗り、必要に応じて塗料をぼかして元の材質と馴染ませましょう。

 

深い傷やへこみ

重量のあるものを落としてしまったり、勢いよくぶつけてしまったりした場合は深い傷やへこみができます。こうした傷やへこみには、クレヨンを用いて補修するのが効果的です。クレヨンを塗り、気になる傷の箇所を埋めます。

傷やへこみの程度がひどいと、塗装が剥がされ色が抜けてしまうケースもあるでしょう。この場合は、木製家具専用の補修ペンを使うのが効果的です。すぐには色が馴染まないこともありますが、乾燥させながら繰り返し塗ると理想の色に近付けられます。

 

えぐれ傷や欠け傷

木製家具の基礎部分にまで及ぶダメージが入ったものは、えぐれ傷や欠け傷と呼ばれます。外部と接触しやすい、テーブルの角部分や天板部分に発生しやすい傷の種類です。

えぐれ傷や欠け傷を補修する際は、充填剤を用いて欠けた部分を補い、成形後に着色や艶出しを行います。

なお、これほど大きな傷ができた場合は、DIYで直すのが難しい場合もあります。ご家庭で対応するのが難しいと感じた場合は、補修専門の業者に依頼するのも一つの選択肢です。

 

無垢材の割れ

天然木から作られる無垢材は、肌触りが良く木材本来の美しさがある一方で、乾燥に弱い点がデメリットです。乾燥している期間が長期に渡ると、無垢材が縮んで割れる可能性があります。

木材には湿気や水分を吸収・放出する性質があり、湿度の高い時期になれば膨張して目立たなくなるため、基本的には特に手を加えず、様子をみるのがおすすめです。

しかし、乾燥する時期と湿度の高い時期を経てもなお気になる場合は木工用パテで隙間を埋めましょう。隙間に適量塗り込み、はみ出したパテを拭き取れば補修は完了です。

 

豆知識:家にある材料を使った補修方法

木製家具の補修には、木工用パテやウッドフィラー、接着剤などの木工用補修材を用いることが一般的です。しかし、こうした木工用補修材がないものの、すぐにでも補修したい場合もあるでしょう。

その場合は、家にあるもので代用が可能です。この方法では、オリーブオイルと酢を用います。

まず、オリーブオイルと酢を準備して、1対1の割合で混ぜ合わせます。混ぜ合わせた液体を布やキッチンペーパーなどの柔らかいものに吸収させ、傷口に塗ってください。傷を根本的に直せるわけではありませんが、木製家具に塗るオイルと同様の役割を果たすため、細かい傷なら目立たないように修復できます。

ただしこの方法はあくまでも、木工用補修材がない場合の応急処置です。傷を目立たなくするための処置なので、しっかり直したい場合は正しいケアが欠かせません。

 

木製テーブルの傷を補修する手順

ここでは、オイル塗装の無垢材テーブルに付いた小さな傷を補修する場合を例に説明します。以下の手順で補修を進めてください。

  1. 粗めのやすりをかける
  2. 細かめのやすりをかける
  3. オイルで塗装する

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

 

1.粗めのやすりをかける

まずは、40から100番程度の粗めのやすりをかけて天板を削っていきましょう。このステップの目的は、傷の周辺をなめらかかつ平らにすることです。

傷部分だけでなくその周辺も含めて、万遍なく削るのがポイントとなります。しばらく削ると傷の深さが浅くなり、周辺と高さが揃ってきます。木材を削ると木くずが出るため、それを想定してあらかじめシートを敷いたり、テープを貼ったりしておきましょう。

 

2.細かめのやすりをかける

粗めのやすりで大方削った後は、細かめのやすりで微調整します。240番程度のやすりを用いるといいでしょう。番手が大きいやすりほどきめ細かいので、よりなめらかな仕上がりとなります。

 

3.オイルで塗装する

やすりで削った時点で、傷はだいぶ目立たなくなります。しかし削る際に、木材と一緒に表面に塗装したオイルも削っているので、最後はオイルで塗装しましょう。

ウエスやキッチンペーパーにオイルを染み込ませて、さっと全体に塗っていきます。オイルが乾くまで数時間待てば、ベタつきもなく快適に使用できます。

オイルの仕上がりが、全体の見た目やデザインを左右するといっても過言ではありません。無垢材の本来の良さを引き出せる、植物油でできた木材保護塗料を塗るといいでしょう。

またオイルは、直接肌や食器などに触れる部分なので、こうした観点からも有害な化学物質が使われていない自然由来のものがおすすめです。

 

木製テーブルの傷を防止する方法

木製テーブルの傷を防止する方法は、以下の通りです。

  • テーブルクロスを使用する
  • テーブルマットを使用する
  • テーブル保護シートを貼る
  • ガラス板を被せる

それぞれの方法で何を実施するか、その具体的な効果などを詳しく解説します。

 

テーブルクロスを使用する

テーブルに傷が付くのを防止するには、テーブルクロスを使用するといいでしょう。汚れが付いても洗濯できるので、衛生的にも安心です。液体が木製テーブルに染み込んでしまわないよう、撥水加工されているものがおすすめです。

またテーブルクロスを使用すれば、食器やナイフ・フォークの音を防げたり、おしゃれなインテリアとして取り入れたり副次的な効果も期待できます。

 

テーブルマットを使用する

テーブルマットも、傷を防ぐ観点からおすすめの対策です。傷が付くのを防止できるのはもちろん、衝撃や汚れからもテーブルを守ってくれます。

テーブルマットもテーブルクロスと同様に、さまざまなデザインのものがあります。部屋の雰囲気やインテリアとマッチするものを選びましょう。素材や色にこだわっている場合は、テーブルそのものを活かせる透明のクリアタイプがおすすめです。

作業用のテーブルの場合、ハサミやカッターなどの道具の落下などにより強い衝撃が加わる可能性があるので、厚みがあるものを選択してください。

 

テーブル保護シートを貼る

「テーブルの素材を活かしたい」という強いこだわりがある場合は、専用のテーブル保護シートを貼るのがおすすめです。透明タイプのものもあるので、テーブルの外観を損ねることなく傷が付くのを防止できます。

 

ガラス板を被せる

テーブルにガラス板を被せるのも、傷が付くのを防止できる有効な方法です。ガラス板は透明なので、木製テーブルの木目や雰囲気、デザインを楽しめます。

ガラス板であれば、使用しても大きく見た目は変わりません。「テーブルクロスやマットでデザインを変えたくない」「インテリアの雰囲気はそのままにしたい」などの場合におすすめです。

しかしガラス板の場合、強い衝撃が加わると割れる可能性がある点は念頭に置いてください。

 

まとめ

本記事では、木製家具の板の構造や傷が付いた場合の手入れ方法、補修する手順などをご紹介しました。傷は見た目に影響を及ぼすだけでなく、使用感を劣化させる可能性もあるため、早い段階で修繕してください。傷が付くのを未然に防ぐために、テーブルクロスやテーブルマット、テーブル保護シート、ガラス板を使用するのもいいでしょう。

実際に補修する際は、やすりをかけた後、オイルで塗装します。一口にオイルといってもその種類はさまざまなので、機能面や肌触りなどから選ぶのがおすすめです。

オスモカラーは自然由来の成分を主体とした塗料で、主にひまわり油、大豆油、アザミ油などの植物油と植物ワックスをベースとしています。塗膜を形成しないので、無垢材本来の調湿機能を最大限引き出すことが可能です。揮発性有機化合物(VOC)は不使用のため環境面や健康面でも安心できるでしょう。小さなお子さんがいる家庭でもおすすめです。

オスモカラーの詳細が気になる方は、お試し塗料セットも販売しているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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