身の回りにある家具などの木製製品は、一般的に木の表面が塗装で保護されています。木製製品を長くきれいに使うための表面保護を目的としたこの塗装には、主に「オイル塗装」と「ウレタン塗装」の2種類があります。
どちらも無色透明の塗料で表面が加工されているため見た目に大きな差はありませんが、その効果や特長にはさまざまな違いがあることをご存知ですか。
本記事では、オイル塗装とウレタン塗装のそれぞれが持つメリット・デメリットとメンテナンス方法、用途や目的に沿ってどちらの塗装を選ぶと良いかなどを詳しく説明します。本記事を読んで、オイル塗装とウレタン塗装の違いを正しく知りましょう。
目次
オイル塗装とは?
オイル塗装とは、塗装面に塗膜を形成せず、木にオイルを染み込ませて表面を保護する塗装方法です。
ここでは、オイル塗装のメリット、デメリットとメンテナンス方法を見ていきましょう。
オイル塗装のメリット
オイル塗装のメリットは、天然の木が持つ質感や肌触り、風合いをそのまま楽しみながら木の表面を保護できることです。
オイル塗装だと、天然の木が持つ自然な木目を生かしたダイニングテーブルや椅子、床材など、木ならではのしっとりとした優しい感触を長く楽しむことができます。また、ヒノキやスギなどが持つ木特有の芳醇な香りを長く堪能できるのも大きなメリットです。
天然の木には、使い込んでいくごとに色やツヤ感が変化する「経年変化」が起こります。これは、色合いが深く変化したり、使い込むことによって美しいツヤ感が生まれる変化です。オイル塗装で定期的なメンテナンスを行いながら木の表情の変化を楽しむと「木を味わい深く育てている」感覚が生まれて、より家具への愛着が増す方も多いでしょう。
オイル塗装のデメリット
メリットの多いオイル塗装ですが、デメリットもいくつか挙げられます。
木の表面に塗膜を張らないオイル塗装は、比較的水や汚れに弱いというデメリットがあります。例えば、天然の木で作られたダイニングテーブルに水をこぼして放置したり、濡れたコップを長時間置きっぱなしにすると白っぽいシミが残ったり、木が水分を吸って膨張してしまったりする恐れがあります。シミや傷みを防ぐために、水がこぼれたらすぐに拭き取りましょう。
毎日のお手入れでダイニングテーブルの表面を水拭きしたい時は、布巾を硬く絞って余分な水分を与えないように注意が必要です。
また、オイル塗装は表面に膜がないため、湿度や乾燥などの環境変化にも敏感です。極度な変化があると木の反りや割れなどが生じる可能性があるのもデメリットの一つでしょう。
オイル塗装のメンテナンス方法
オイル塗装は、経年変化でオイルの成分が抜けていくため、定期的なメンテナンスが必要です。
木の表面の色が淡くなってきたり、カサカサした乾燥感のある肌触りになってきたりしたらメンテナンスが必要なサインです。一般的なオイル塗装の場合、1年に1〜2回を目安にしてオイル塗装をしてあげましょう。天然の木に油分を与えると深みがある色合いになり、しっとりとした肌触りが戻ってきます。
天然の木でできたダイニングテーブルや床材などの表面に目立つシミや傷ができた場合は、木の表面を軽くサンドペーパーで削ってからオイル塗装をかけると目立ちにくくなるのでおすすめです。
ただし、天然の木を薄く削った物をベニヤ板などに貼り付けた突板(つきいた)が使用されている家具や床材には、サンドペーパーを使ったメンテナンスは不向きなので避けましょう。
ウレタン塗装とは?
ウレタン塗装とは、塗装したポリウレタン樹脂が固まり、プラスチックのような膜を形成して木の表面を保護する塗装方法です。ここではウレタン塗装のメリット、デメリットとメンテナンス方法を見ていきましょう。
ウレタン塗装のメリット
ウレタン塗装は、天然の木の表面を樹脂の塗膜で覆い保護するため、傷や水によるシミなどを防げるのが大きなメリットです。
ウレタン塗装では、ダイニングテーブルや床材に水をこぼしたり濡れたコップを放置したりしても、樹脂の塗膜が水の吸収を妨げてくれるのでシミになりにくくなります。軽い汚れであれば表面をさっと水拭きすれば良く、赤ちゃんや小さい子供がいる家庭にはその扱いやすさが大きなメリットでしょう。
また、木の表面の保護力があるため水分や乾燥に強く、環境変化による木の反りや割れなどの劣化が起こりにくいのも良いポイントです。
さらに、オイル塗装のように定期的に塗料を塗り直すメンテナンスが必要なく、手間をかけずにきれいな状態を長く楽しむことができるのもメリットの一つでしょう。
ウレタン塗装のデメリット
では、ウレタン塗装のデメリットにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
ウレタン塗装のデメリットは、その光沢感と劣化した時のメンテナンスの難しさにあります。
最近ではツヤ消しタイプの塗料もありますが、一般的にウレタン塗装の物は、オイル塗装と比べると白っぽい光沢があります。光の当たる加減によって本来の木が持つツヤ感とは異なる光沢が出る場合があるので購入前に確認しておきましょう。
また、劣化して傷みが進んだウレタン塗装は、購入元などに問い合わせて業者に再塗装してもらう必要があるのもデメリットの一つです。特に塗装が摩耗して禿げてしまうとメンテナンスが難しくなるため、専門の技術や設備が必要です。家具を持ち込んで対応してもらう必要があります。
傷や傷みの具合によってメンテナンスにかかる費用が高額になるケースもあるので、業者に問い合わせて見積もりをしてから依頼すると安心でしょう。
ウレタン塗装のメンテナンス方法
ウレタン塗装の自宅でできるメンテナンス方法にはどのようなポイントがあるのでしょうか。
前述した通り、ウレタン塗装は傷や汚れに強いため、基本的には水拭きやお湯拭きで十分汚れが落とせます。
ウレタン塗装の面に油汚れが付いてしまった場合は中洗洗剤を水で薄めて布に染み込ませて水拭きをし、最後は乾拭きでしっかりと拭き取ると良いでしょう。ベンジンやシンナーなどの有機溶剤は成分が強く、ウレタン塗装を傷める原因になるので使用してはいけません。
関連記事:木材のウレタン塗装について|メリット・デメリット、注意点、メンテナンス方法は?
オイル塗装とウレタン塗装で迷ったら見るべきポイント
ここまでオイル塗装とウレタン塗装の特徴を見てきましたが、どちらを選べば良いか判断に迷うケースもあるでしょう。ここでは、オイル塗装とウレタン塗装で迷った場合にどちらを選べば良いか判断するための具体的なポイントを4つ説明します。
1.ツヤや質感
オイル塗装とウレタン塗装で迷った時に注目したいポイントの1つ目は、ツヤ感や質感の違いです。
オイル塗装の塗料にはツヤ消しの効果がある物も多く、マットな質感に近いです。しかし、近年ではウレタン塗装にもツヤ消しの効果がある塗料が増えてきたため、正面から見ると違いが分かりにくいケースもあるでしょう。
判断に迷う時は、光を当てて斜めから比較します。ウレタン塗装には特有の光沢やツヤ感が出て白っぽく見え、差が分かりやすくなります。
光沢感のある家具を好まない方は、オイル塗装の物を選ぶと良いでしょう。お店で家具を選ぶ際は角度を変えてツヤ感を確認し、どちらの塗装で仕上げてあるか不明であればお店の方に確認すると確実です。
2.傷や汚れに対する強さ
オイル塗装とウレタン塗装で迷った時に注目したいポイントの2つ目は、傷や汚れに対する強さです。
前述した通り、オイル塗装は木の表面を覆う塗膜が無いため、ウレタン塗装に比べて細かい傷や汚れが付きやすいです。しかし、細かい傷や汚れを経年変化の一部や「味」と捉える方も少なくありません。
一方、ウレタン塗装は木の表面を樹脂で保護しているため、プラスチックのような膜が傷や汚れを付きにくくしてくれます。しかし、万が一傷が付いてしまった場合、白っぽく浮いた傷跡が目立つ可能性があることも覚えておきましょう。
3.耐熱性
オイル塗装とウレタン塗装で迷った時に見ておきたいポイントの3つ目は、耐熱性です。
どちらの塗装も基本的に熱に弱いため、熱したフライパンやポットなどを直接置いてはいけません。温度が高い物を直接置いてしまうと、オイル塗装は熱い部分がシミに、ウレタン塗装は塗料が白っぽく変化してしまう恐れがあります。
特に、天然の木をそのままダイニングテーブルに加工した物は、熱によるダメージを防ぐために鍋敷きやコースターを使う習慣を付けることをおすすめします。
4.耐水性
オイル塗装とウレタン塗装で迷った時に注目しておきたい最後のポイントは、耐水性です。
オイル塗装は比較的水に弱く、濡れたままにしておくとシミができる原因になってしまいます。そのため、毎日のお手入れは水拭きよりも乾拭きで行うと安心です。
一方でウレタン塗装は表面が塗膜でコーティングされているため水分に強く、オイル塗装と比べてシミになりにくく水拭きができるのが大きな違いです。
これらの特徴を踏まえた上で、生活スタイルや好みに合うのはどちらか検討すると良いでしょう。
オイル塗装とウレタン塗装どっちがおすすめ?
では、オイル塗装とウレタン塗装で迷った時はどちらを選ぶと良いのでしょうか。それぞれの特徴が異なるため、好みや使用する環境に合わせる必要があるでしょう。
ここでは、オイル塗装とウレタン塗装のおすすめポイントをそれぞれ説明します。
オイル塗装がおすすめな方
オイル塗装はどのような方におすすめでしょうか。
まず、木の優しい質感や風合いを大切にしたい方や木が持つ特有の香りを楽しみたい方はオイル塗装を選びましょう。木の表面をオイルで保護するので、天然の木が持つ特性を十分に楽しめます。
また、多少のシミや汚れ、傷を「味」「経年変化の一部」として捉えられる方もオイル塗装がおすすめです。オイル塗装をされた家具は、味を加えて木を育てていく過程を楽しめます。革製品を使い込んで育てるのと似た感覚です。オイル塗装によるメンテナンスが苦にならず、愛着を持って長く付き合っていける方にぴったりです。
さらに、オイル塗装には木の質感を活かせる「オイル塗装に向いている樹種」がいくつかあります。例えば、チークやウォールナット、ブラックチェリーなどの色味が特長的な樹種や、タモやナラ、アッシュなどの木目がはっきりとしている樹種などです。
オイルが浸透すると木目の美しさを際立たせることができ、本来の天然の木が持つ色味を引き出せるため、これらの樹種の家具や床材をお持ちの方はオイル塗装をおすすめします。
ウレタン塗装がおすすめな方
ウレタン塗装はどのような方におすすめできるか見ていきましょう。
まず、毎日の生活の中で細かい傷や汚れ、シミや水濡れが生じやすい環境にいる方はウレタン塗装がおすすめです。例えば、赤ちゃんや小さい子供がいる家庭のダイニングテーブルでは食べこぼしによる汚れを防ぐのが難しいでしょう。ペットがいる方も、爪痕などの傷が家具に付きやすい環境です。
また、毎日の手入れや定期的なメンテナンスが面倒だと感じる方にもウレタン塗装が向いています。定期的なメンテナンスが必要ないウレタン塗装は、個人差がありますが塗膜が劣化する20〜30年後に専門の工房などで磨き直しや再塗装をしてもらうケースが多いでしょう。毎日のお手入れに時間を取られたくない方にはウレタン塗装がおすすめです。
まとめ
本記事では、オイル塗装とウレタン塗装方法やメリット・デメリットとそのメンテナンス方法、どちらにするか迷った時に見るべきポイントやどちらを選ぶと良いかなどを詳しく説明しました。
オイル塗装とウレタン塗装はその方法も特徴も異なるため、好みや使用する環境に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
天然の木でできた家具や床材の塗装メンテナンスで何を選べば良いか悩んでいる方は、木の良さを引き出す「オスモカラー」を検討してみましょう。
オスモカラーは世界60か国以上で使われているオイル塗装とウレタン塗装それぞれの良いところを兼ね備えた木材保護塗料です。木の滑らかな触り心地を保ったまま、優れた撥水性で水によるシミを防ぎます。
主にひまわり油、大豆油、アザミ油などの「植物油」と「植物ワックス」をベースとして作られており、ISO9001認定を受けた工場で植物油の精製から全て自社で製造・管理しているので、赤ちゃんや小さい子どもがいるご家庭にもおすすめです。
お気に入りの家具を長く美しく保ちたい方や自然派の塗料を探している方は、撥水性や保護性能に優れ、植物ベースで人と環境への安全性を考えたオスモカラーを使ってメンテナンスを楽しみましょう。
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