大分県大分市の鬼塚電気工事株式会社様。
2022年に、エネルギー収支を0%以下にする『ZEB(Net Zero Energy Building)』を実現した、新社屋を建設されました。
ZEBプランナー(※1)の認定も受け、会社として、ZEBに積極的に取り組まれています。

新社屋建設の計画にあたり、お考えになられたこと、会社としてZEBに積極的に取り組もうとした背景にあるお考えとは?

旧社屋が古くなってきたことと、手狭になってきていたということから、新社屋建設の計画がスタートしました。
旧社屋では、社員は4カ所にバラバラに分かれて仕事をしており、社員同士のコミュニケーションがとりづらいという問題もありました。
昔は、社員数が少なかったので、社員が全員一つのフロアで仕事をしていて、電話や会話の内容が聞こえてきて、他の社員が困っていることや悩みがありそうなどということもなんとなくわかっていましたが、物理的に場所が分かれているとそういった社員同士のお互いの様子がわからないというような問題意識がありました。
昔のように、社員同士がなんとなくお互いの雰囲気がわかるような、そういった状態にもう一度戻したいという想いがありました。
そのためには、まずは、社員全員が同じフロアで仕事ができるようにしたいということからスタートしました。

尾野社長               尾野会長

そして、ちょうど脱炭素ということで国が大きく舵を切ったところでしたから、「脱炭素」、「ZEB」を目指した社屋にし、ZEBプランナー(※1)を取得しようと考えました。
これをきっかけに、電気工事の技術を高めて、お客様の幅を広げたい、さらには人材の確保につなげたいという想いもありました。

お話をうかがった、鬼塚電気工事の社員のみなさま

ZEBを実現するための創エネルギーについて

創エネという観点では、太陽光発電に加えて、風力発電や水素発電もしています。
太陽光発電、風力発電は自然エネルギーなので、発電が安定しないという側面があります。
水素発電は蓄えることができるので、安定した電力に変えるという意味で、水素発電にもチャレンジしています。

屋上の太陽光パネル(左)と風力発電の風車(右)

太陽光と風力のエネルギーで水を電気分解して、水素をつくる

太陽光と風力のエネルギーを使って、水電解装置で水を電気分解して水素をつくります。
そうすると、水素と酸素ができあがります。作った水素をタンクに貯めます。
水素と酸素を合わせて、化学反応を起こして、水と電気を作り出すというのが水素発電の仕組みです。

できた水素が貯まる水素タンク

太陽光や風力発電ができないとしても、水素発電の元となる水素は貯めておけるので、水素発電はいつでもできる状態であるという意味で、水素発電は安定しているというわけです。
太陽光発電や風力発電を補完するような形で水素発電の設備もあるとより安定するということになります。

ZEBを実現するための省エネルギーについて

ZEBを実現するにあたって、省エネという観点では、外付けブラインドヴァレーマを採用することもポイントでした。
新社屋建設計画をする少し前から、省エネ製品に関心があり、いろいろと探していたところ、外付けブラインドヴァレーマをみつけました。
省エネに非常に有効な商品であり、制御システムなどもあることから、面白い製品だと思いました。

ZEBを実現するにあたって、建物自体の断熱性能を高めることはもちろん重要ですが、加えて、外付けブラインドが果たしている役割は大変大きく、ZEBには必須だと思っています。

また、ヴァレーマが自動制御システムでデータがとれるということに価値を感じています。
データをとった上で、ZEBをさらに効率良く実現していくためにどのようなことができるか、太陽の光や温熱環境との兼ね合いで効果的な照明計画をたてられないかということも考えようとしています。
データをとりながら、どのように活用していくか、検討している段階です。

南面の窓のヴァレーマ

太陽光の有効利用という観点では、光ダクトやトップライトから、太陽光を屋内に取り込むようにしています。

屋上に設置された採光ダクトから屋内へ自然光を採り入れる

木質化で快適なオフィス環境を実現

また、社員にとって心地良く、働きやすいオフィスにしたいという想いもあり、ZEBで快適なオフィス環境を実現したいとも考えました。

社員が快適に働けるオフィス環境をつくるということに関しては、計画段階からかなり練って、武蔵野美術大学の若杉教授にお願いして、インテリアデザインを考えていただきました。
大分県産材の杉をふんだんに使用し、インテリアを木質化して快適さを追求しました。
オフィスのインテリアを木質化したことは、社員からの評価も高いです。

木をふんだんに使った居心地のいいインテリア

外付けブラインドヴァレーマに関して社員の方の感想や使い勝手を教えてください。

ヴァレーマで太陽光が最適にコントロールされ、さらに、自動で開閉されるので、暑い、眩しいというストレスを感じることがなく、業務に集中できるという意見が多いです。
以前のオフィスでは、直射日光が入ってきて、仕事を中断してブラインドを閉めにいくということがよくありましたが、新社屋では直射日光が気になったり、太陽光が眩しいと感じることがないです。
また、ヴァレーマは、西南東面の窓についていて、北面だけ、ヴァレーマではなく、室内側にロールスクリーンが付いているのですが、北面は暑いと感じるという意見があります。
北面ですが、少しだけ西日が入ってくるので、その影響でヴァレーマが付いていない北面では暑いと感じるようです。
北面との対比で、外付けブラインドがついていると快適さが全然違うのだと実感しています。

2階ワークスペースのヴァレーマ

最後に・・・

新社屋で、社員のみなさまが特に気に入っていらっしゃるところを教えていただきました。
屋上のテラスやカフェスペースが、社員のみなさんが、ランチをしたり、休憩をしたりリラックスしてコミュニケーションがとれるスペースとして人気のようです。

3階テラスのリラックススペース

2階3階のカフェスペース

ZEBを実現させるために、建物自体の断熱性はもちろん、創エネ、省エネの工夫を随所にされていることに加えて、内装木質化をされたり、植物をインテリアに採り入れたり(バイオフィリックデザイン※2)、社員のみなさんがリラックスしてコミュニケーションがとれるようなスペースを設けることで、快適に働ける環境を実現されているのが印象的でした。

地元大分のアーティストの方の作品も展示されており、アートを採り入れたインテリアも快適なオフィスの実現に一役買っていると感じました。

地元大分のアーティストの方の作品

※1 ZEBプランナー:「ZEBプランナー」とは、「ZEB設計ガイドライン」や「ZEBや省エネ建築物を設計するための技術や設計知見」を活用して、一般に向けて広くZEB実現に向けた相談窓口を有し、業務支援(建築設計、設備設計、設計施工、省エネ設計、コンサルティング等)を行い、その活動を公表する事業者と定められています。
(環境省HPより:https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/index.html

※2 バイオフィリックデザイン:バイオフィリックデザインとは、「バイオフィリア」という造語が元になった建築デザインの一つ。建築やインテリアに、「植物」や「木」などの自然の要素を取り入れること。自然との結びつきがその空間で働いたり、過ごす人々にポジティブな影響を与えていると、いくつかの研究で証明されています。

 

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外付けブラインドヴァレーマ
https://osmo-edel.jp/product/warema/

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