鹿児島県鹿児島市で世界基準の注文住宅を手掛けるPASSIVE STYLE様。
代表の馬場龍仁様にお話をうかがいました。

「世界基準のいい家」を目指して、高気密・高断熱、パッシブデザインの健康で快適な家づくりをすることになった背景や想いを教えてください。

以前は、ローコストでG2(※)基準の家を年間10棟くらい建てていました。
ドイツへ行ったらG2基準の家がいっぱいあるよという話を聞いたので、ドイツへ研修に行くことにしました。
当時はまだ会社員だったんですが、自費で費用を負担して休みをとって行くことに決めました。
これから先も家をつくる仕事をやっていくと決めていたので、ドイツへ行ってきちんとした家づくりのことを勉強する必要があると思いました。

ドイツへ行ってまずびっくりしたのが、G2基準の家なんて1軒もないんです。
唯一、これが、当時私がつくっている家と同じくらいの性能の家だなと思ったのが、農業用倉庫だったんです。
単層の外張り断熱でペアガラスの樹脂窓が使われていました。
ドイツだと、そのレベルの断熱性能の建物は、寝泊りしてはいけないと法律で決まっているんですよね。
当時、日本で高性能だと思ってつくっていた家が、ドイツでは寝泊まりしてはいけないと法律で決められているレベルの性能の建物なんだということがわかって、衝撃でした。

ドイツへ行って圧倒的な正解を知ることができたと思います。
日本にいると日本の基準しか知らないので、いくらいい家をつくろうと思って一生懸命考えても答えが出てこないんですよね。
日本にいたら、間違っている考えが正しいみたいになっていると思いました。
ビニールクロスやシートフローリングなどって、結局使っていくうちに劣化したら、捨てるしかないものですよね。
ぶつかったり傷がついたら終わりです。日本の家って、壊すためにつくっているようなものだなと思ってしまいました。
ドイツへ行くと、自然素材という言葉がないんですよね。
自然素材しかないし、自然素材のものしか使わないので。
衝撃でした。
また、使用する建材だけでなく、考え方も印象に残っています。
ドイツでは、家を建てる時に、まだ見ぬ孫とか孫の次の世代のことまで考えて、家を建てるんですよね。
光熱費がいくらかとかそういった価値が副産物に感じるくらい、高気密・高断熱、健康で快適な家を建てることが、それ以上にメリットや価値がたくさんあると思いました。

実際に、私自身が今、高気密・高断熱でパッシブデザインの家で暮らしていて、光熱費がどのくらい安くなるかということ以上に、朝起きた時から感じる快適さや健康に過ごせることに価値があると感じています。
例えば、今うちには1歳1か月になる子どもがいますが、鼻水を出したことがないんですよ。
鼻水って防衛本能で、カビなのかダニなのかホコリなのか何からなのかわからないですが、それらから自分を守るために出すと思うのですが、カビやダニやホコリが一切なければ鼻水なんて出ないんですよね。

お客様の中にも、もともと鼻が詰まっていていびきがひどかったお子さんがいらしたのですが、その子も引き渡して住み始めたその日からいびきも鼻水も止まったというお話もあります。
その日から1回も病院に行っていないと聞いています。

ドイツへ行く前は、ドイツやヨーロッパは建築に対する考え方が進んでいるんだと思っていたのですが、ドイツへ行ってわかったことは、ドイツが進んでいるのではなく、やっていないのが日本だけだということでした。

温熱環境が悪いと、最新の建材や、設備に頼った家になります。
でも、温熱環境って物理ですから、100年後に結露する露点が変わるとか、新しいものって出てこないですよね。
設備に頼るのではなく、物理に頼ればいいんだと思っています。

そこで、ドイツから帰ってきた時に、鹿児島で、ヨーロッパ基準・世界基準の家を自分でつくろうと思いました。
いいものというか正しいものをつくりたいと思いました。
物理って、誰がやっても同じようにやれば、同じ条件をつくり出すことができます。
ドイツって、冬、外が寒くても家のドアを開ければ、無暖房の家でも熱気を感じます。
今、それと同じ状況を鹿児島でつくることができています。

PASSIVE STYLEさんにいらっしゃるお客様は、どのようなことに関心を持たれていますか?

家づくりをしようと思った時に、最初はみなさん、リビングどうしようとか間取りどうしようとかそういったことに関心があります。
そして、どんな家にしようかさらに勉強を進めていくうちに、しだいに、家の断熱や気密などの性能って大事だなと気が付いた方が最終的にたどり着いて、PASSIVE STYLEに来てくださる感じがします。

高性能住宅を建てる意味とは?

最初は、光熱費をできるだけ抑えたいという考えでいらっしゃる方が多い気がしますが、さきほども申し上げたようにそれは副産物であって、高性能住宅を建てる意味というのはそれだけの話ではないので、そのことを最初にまずきちんとお話します。

例えば、健康で快適に過ごせる住宅だから、病気をしない。
そうすると、病院に行かなくていいので、税金でまかなわれている、社会全体で負担している医療費をかけないで済みますよね。
つまり、夏涼しくて冬暖かい、健康で快適に過ごせる家を建てれば、社会全体が豊かになるんですよ。

家を建てる時に必要な建築費だけの話をすれば、PASSIVE STYLEで家を建てたほうが高く、他にもっと安く建てられる家ってあると思いますが、その後のメンテナンス費や光熱費、先ほどもお話した医療費・・・といったこともトータルで考えれば、高気密・高断熱の性能のいい家を建てたほうが賢い選択だという話ですね。
しかも、それだけの話ではなくて、この家は、二世代・三世代・四世代と子どもや孫の世代、その次の世代まで住み続けることができるんです。
ドイツだと、親が家を建てたら、その子どもは、別荘が買えたり、船が買えたり、別のことにお金を使えるので、豊かになりますよね。
でも、日本だと建てる家の性能が悪いために、毎世代、家を建てなくてはならなくて、いつまで経っても豊かにならない。
ドイツやヨーロッパだとたとえその家を継ぐ子どもがいなかったとしても、性能がしっかりしていて、自然素材を使ってメンテナンスもできる、長く住める家になっていますから、誰か別の人が豊かに暮らすことができる家なんですよね。

「今の自分のことだけでなく、社会全体のことや、子どもや孫、次の世代のことも考えて、高気密・高断熱、健康で快適なパッシブデザインの家を建てる」

お客様にきちんとお話して、気づいていただくという感じですね。
私もドイツに行っていろいろなことを学んで気づいたという感じだったので。

PASSIVE STYLEの家では冬に暖房は使わない??

自宅や事務所では、冬に暖房を使ったことがないです。
鹿児島の冬も東京の冬も同じだと思いますが、西高東低の冬型の気圧配置で、寒ければ寒いほど晴れるんですね。
例えば、鹿児島市内で雪が降った1月のある日、雪が降ったあくる日の朝晴れました。
この日ここの事務所は、朝9時半の気温が、事務所の中は28度で、外0度なんです。
無暖房でですよ。
大きな窓があって、建物の断熱性能がよければ、この大きな窓から入る太陽の光と熱で部屋の中があたたまり、暖房をつけなくても部屋の中があたたかくなるということです。

PASSIVE STYLEさんの事務所の大きな窓

冬至の日は、太陽の高度が最も低いですよね。家の中が一番あたたかくなるんですよ。
太陽の高度が最も低いということは、太陽の光が窓に最も当たるので、家の中が一番あたたかくなるんですね。

窓には、外付けブラインドヴァレーマをご採用いただいていますが、ヴァレーマを導入していただいていかがでしょうか?

この事務所は、実は最初は、ヴァレーマがついていなかったんです。
そうしたら、冬、とても暑くて、暑すぎて急いでヴァレーマをオーダーしました。
さきほどお話した雪の日はまだこの事務所にヴァレーマがついていなくて、朝4時半の時点で、室内の温度が20度で、外気温が-1度。
9時半で28度と申し上げたんですが、10時半の時点で30度超えたんですね。寒ければ寒いほど晴れるので、外気温が0度くらいだったとしても、室内はかなり暑くなります。

冬でもヴァレーマを使わないと暑くなりすぎるくらいですから、今日と同じようにTシャツを着ています。
一年中この恰好です。

暖房いらないんです。使ったことないです。

冬でも夏と同じTシャツスタイルだそうです

12月1月が、家の中が最も暑いです。
それ以降は太陽高度がどんどん高くなるので、窓に差し込む太陽光が少なくなり、温度がより一定になっていきます。
エアコンの除湿だけは使っているので、5月以降は除湿を入れていただく感じですね。

ですから、ヴァレーマは冬に特に大活躍するイメージです。
夏ももちろん日射遮蔽のために使います。
やはり窓が一番熱の出入りがある場所になりますから、窓の日射遮蔽対策は必要です。
放射といって、熱は、熱が高いところから低いところへ移動しますから、夏は外の高い熱が窓を通して室内へ攻めてきますから、日射遮蔽・遮熱が必要です。

でも、ここ鹿児島の場合、実際は、冬が一番活躍します。
夏はそもそも家の中がそんなに暑くならないんですよ。30度とか絶対にいかないです。
太陽高度と関係している話です。
冬は太陽高度が低いので、太陽の光が室内にしっかり入ってきますから、それで、室温が30度以上まで上がることがあります。
建物の性能がいいと、冬は晴れると、一気に部屋の中が暑くなります。だから、外付けブラインドが必要ということになります。

実際にPASSIVE STYLEさんで家づくりをされたお客様はどのような点で喜ばれていますか?

たくさんあって、大きなことからちょっとしたことまで、散りばめられていますね。
例えば、一番最近お客様がおっしゃっていたのは、お風呂から上がって髪がすぐ乾くという感想ですね。
やはり温熱環境に関わることですよね。
家の空気の話です。
前の家は、ほとんど断熱がされていない家だったので、夏お風呂から上がって髪を乾かしていると、汗が出てきて、お風呂上りで濡れているのを拭いているのか、汗を拭いているのかわからないけどとにかくずっと拭いているっていう・・・。今はそれがなくなったという話です。
温熱環境が改善したことによって得られる、今までの家の中での大小さまざまな戦いから解放されるという喜びの声が多いですね。

実際に、PASSIVE STYLEで家を建てたお客様は家での快適な暮らしを楽しんでいらっしゃいますね。
お子さんも家で過ごすのがいいと素直な反応がみられます。家が一番快適な空間ということで満足していただいています。

お客様には、すごく満足していただいているのですが、「別にすごい家をつくっているという感覚ではなく、これが世界的な基準の普通の家です」ということをお伝えします。

ヴァレーマを使っていらっしゃるお客様の実際の使い勝手はいかがでしょうか?

夏は今の時期みなさんヴァレーマを降ろして、このくらいの角度に羽根を調整していただいていることが多いと思います。
日射遮蔽はしつつ、外の景色は楽しめますが、外から中は見えないので、外からの視線も気にしなくてOKです。

外付けブラインドヴァレーマを、夏はこのくらいの角度にして使うのがちょうどいい。
外からは見えないので安心。

一方で、冬は、昼間にできるだけ太陽の光を入れたいので、全開にするか、全開できない場合は、下の方だけ開けて、下の方だけでも太陽の光を入れるような使い方をおすすめしています。

冬は全開にするか、下の方だけ開けて太陽の光を入れる。

鹿児島って、日射量が多いので、東北の方とかには申し訳ないくらい、簡単に冬暖かい家がつくれます。
東北は冬あまり晴れないので大変だと思います。鹿児島は、寒ければ寒いほど冬晴れます。
その点が、東京の冬も鹿児島と似ていると思います。

温熱環境が整った、ヴァレーマがある生活は異次元空間だと思います。
朝起きて、ヴァレーマを開けて、太陽の光を採り入れて、人間らしい暮らしだと思います。
カーテンだと開け放つってなかなかしないと思うんですが、先ほども申し上げたようにヴァレーマだと全開が難しくても、視線や日射を適度に遮りつつも、必要な太陽の光は入れてという使い方ができます。
カーテンを開け閉めするということからも解放されますしね。
あとは、とにかく、冬に活躍していると思います。

今までお話いただいたこと以外に大事にされていることってどのようなことがありますでしょうか?

デザイン面での美しさも大事にしています。
外観も含めて、次の世代の人が住みたいと思うような美しいデザインというのは大事だと思っています。
温熱環境は大事なんですが、いくら温熱環境が良くても、それで見た目が良くなかったら、やはり住みたいとは思わないですよね。周りを豊かにすることも大事だと思っていますので、外観のデザインは特に意識しています。

最後に・・・

高気密・高断熱、世界基準の家をつくることは、その時にそこで暮らす人が健康で快適に過ごせるということはもちろん、社会や周囲の人を豊かにし、子どもや孫の世代、さらにその次の世代を豊かにするという持続可能性の意義もあるというお話が印象的でした。

インタビュー当日の鹿児島はとても暑くて、外気温は35度。
ですが、事務所の中はエアコンの除湿がついているだけで、とても快適で居心地が良く、空気が爽やか。そこで体感したことが、馬場様のお話をすべて裏付けるものでした。

 

鹿児島といえば、西郷隆盛と桜島。
どちらからも力強い印象を受けました。PASSIVE STYLEの馬場社長は、とても気さくで率直な語り口が面白い方なのですが、情熱的で強い信念をお持ちで、力強い西郷隆盛と桜島と重なるところがあると感じました。

※G2:低環境負荷・安心安全・高品質な住宅・建築の実現のため、主として居住空間の温熱環境・エネルギー性能、建築耐久性の観点から、外皮技術をはじめとする設計・技術に関する調査研究・技術開発と普及定着を図ることを目的として設立され団体HEAT20。
このHEAT20が提案する住宅外皮水準がG1~G3まである。G1よりもG2、G2よりもG3基準の方が高い断熱性能をもつ。

 

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外付けブラインドヴァレーマ
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