新築住宅を建てたいと考えている方に向けて、高性能住宅の特徴とメリット・デメリットを解説します。
「夏は涼しく冬は暖かい」「耐震性が高くて長持ちする」などの家は、説明を聞くと魅力的だと感じられることでしょう。
確かに高性能住宅には多くのメリットがあります。
しかしコスト面や健康面においてデメリットもあることをご存知でしょうか?
今回の記事を参考にしていただければ、「高性能住宅が必要かどうか」を判断していただけるはずです。

高性能住宅とは?

「高性能の住宅」とはどのようなものなのか、まずは住宅性能の基準について知っておきましょう。

特徴①断熱性

高性能住宅の基準のひとつであるのが「断熱性」です。
断熱性とは、壁を通した外気の影響を受けにくいことを指します。
夏は熱く冬は冷たい空気の住宅内への侵入を防げるため、年間を通して住宅内が快適な室温になりやすくなります。
室温差で血圧が急変動する「ヒートショック」も予防でき、健康に配慮するには欠かせないポイントでしょう。
断熱性が高いほど高性能な住宅です。


参考記事:なぜ戸建ての二階は暑いのか?原因と対策方法をご紹介!

特徴②気密性

断熱性とともに高性能住宅の基準とされるのが、「気密性」の高さです。
気密性とは住宅の隙間が少なく、外気の侵入を阻止する住宅性能のことを指します。
断熱性と似ていますが、断熱性は壁を通した外気の影響のことで、気密性は外気の侵入による直接的な影響のことです。
気密性が高いと外気が入り込みにくく、住宅内の空気が外に逃げにくくなります。
つまり外気の影響を受けにくく、室温の安定化がはかれます。

特徴③耐震性

耐震性の高さも高性能住宅に欠かせない基準のひとつです。
地震大国である日本では、耐震性の高さは住宅性能として重要なポイントとなります。
地震の揺れに強い工法を採用したり、揺れを吸収する減震性能を備えたりする家が耐震性の高い住宅です。
耐震性が高い住宅では大きな揺れでも倒壊の可能性が低くなるため、性能の高い家と言えるでしょう。

特徴④耐久性

高性能住宅には耐久性の高さも欠かせません。
耐久性は耐震性・耐火性・工法など、さまざまな側面を考慮しながらはかられます。
そして長期にわたり済み続けられる住宅であると判断された場合、「長期優良住宅」の認定を取得可能です。
家は使い捨てのものではないため、耐久性が高いことも重要なポイントとなります。
耐久性が高ければ、二代、三代と受け継がれるものになるかもしれません。

高性能住宅に住むメリット

それでは高性能住宅に住むと、どのようなメリットを感じられるのでしょうか?
5つの観点からメリットをご紹介していきます。

メリット①夏も冬も快適に過ごせる

まずは断熱性・気密性の高さにより、年間を通して快適に過ごせるのが大きなメリットです。
外気の影響を受けにくい高性能住宅では、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。
住宅自体に快適な室温を維持する性能があるため、エアコンをつけていない部屋でも室温差は大きくなりません。
そのため温度差によって血圧が急上昇する「ヒートショック」も防げます。
高性能な住宅は体感として快適に過ごせるだけでなく、健康的な生活を送るためにも貢献するものです。

メリット②光熱費を抑えられる

光熱費を抑えられることも高性能住宅の大きなメリットです。
年間を通して外気の影響を受けにくくなれば、エアコンを使うことも少なくなるはずです。
エアコンは夏場の電気消費量の約40%を占めるほど、多くの電気を消費します[1]。
しかし高気密・高断熱の高性能住宅であれば、エアコンがなくても快適に過ごしやすくなります。
結果的にエアコンをつける頻度が減り、光熱費削減に貢献してくれるはずです。

メリット③きれいな空気を保てる

「高気密住宅」と聞くと換気されない印象があるかもしれませんが、実際にはきれいな空気を保てます。
なぜなら2003年に、建物への24時間換気システムの導入が義務付けられたためです。
「シックハウス対策のための規制導入改正建築基準法」では、1時間に0.5回の換気が行えるシステムの導入が義務付けられています。
そのため外気による暑さ・寒さを感じることなく、きれいな空気を保ちやすいのが高性能住宅です。

メリット④防音効果が期待できる

実は高性能住宅は、防音効果も期待できることをご存知でしょうか?
気密性が高く空気の出入りが少ない高性能住宅では、音の出入りも少なくなります。
家の中の音が外に漏れにくく、外からの音も住宅内に入りにくくなるのが高性能住宅です。
近隣住民に迷惑をかけることもありませんし、外からの騒音に悩まされることもなくなります。

メリット⑤補助金や税の優遇措置を受けられる

最後にご紹介する高性能住宅のメリットは、補助金や税の優遇措置を受けやすくなることです。
具体的に次のような補助金を受けられる可能性があります。

優遇措置1:ゼロエネ住宅補助金

ZEH住宅に対して支給されるのが「ゼロエネ住宅補助金」です。
発電・創伝システムを利用して、年間のエネルギー消費量がゼロ以下となるシステムの設置に対して支給されます。
太陽光発電や蓄電池システムを導入する際には、初期費用を抑えるための補助金として利用できるでしょう。

優遇措置2:エネファーム設置補助金

エネファームを設置するなら、「エネファーム設置補助金」が利用可能です。
エネファームはガスを使って発電し、発電した際の熱でお湯をつくる給湯器のこと。
普段の光熱費削減はもちろん、停電時にも役立ちますが、導入費用が高額になることがネックです。
そのため導入する際には、国からの補助金を受けられる可能性があります。

優遇措置3:長期優良住宅の税金控除

長期優良住宅と認定された高性能住宅であれば、税金の優遇が受けられます。
受けられる可能性がある控除は次のとおりです。

【控除例】

  • 所得税の住宅ローン減税[2]
  • 認定住宅等新築等特別税額控除による所得税減税[3]
  • 不動産所得税の控除増額[4]
  • 登録免許税の引き下げ[4]
  • 固定資産税の減額[4]

国は長期優良住宅を推奨しているため、さまざまな特例措置が用意されています。
令和7年12月31日までの入居を対象として住宅ローン減税の拡充も実施されているほどです。
上手に活用すれば、より少ない負担で高性能住宅を建てられるようになります。

優遇措置4:自治体独自の補助金制度

自治体によっては独自の補助金制度を設けていることもあります。
国が実施している優遇措置とあわせて使える可能性もあるため、必ずチェックしておきたいものです。

高性能住宅に住むデメリット

高性能住宅に住むことには、メリットだけでなくデメリットもあります。
実際に建ててから気づいても遅いのがデメリットです。
家を建てる前にかならずチェックしておきましょう。

デメリット①建築コストが高くなる

高性能住宅は一般的な住宅と比べて、建築コストが高くなることがあります。
断熱性や気密性を高めるための設備や資材が必要となったり、技術が必要な工法で建てなければならなかったりするためです。
また次の項目で解説しますが、高性能住宅には換気システムの設置が必要となります。
一般的な住宅よりも高性能な換気システムを設置すれば、さらにコストがかさむはずです。
補助金や税額控除を受けたとしても、最終的な建築コストは一般住宅を上回る可能性が高いと考えられます。

デメリット②高気密で換気しないとシックハウス症候群のリスクがある

シックハウス症候群のリスクがあることもデメリットのひとつです。
高性能住宅の「高気密である」ことは、「換気が難しい」ことにつながります。
家に隙間がないと、住宅内で発生した有害物質が外に逃げ出しにくくなるでしょう。
そのため換気システムを設置する、意識的に換気を行うなどの措置を取らなければシックハウス症候群のリスクが高まります。

2003年には実際に、シックハウス症候群を防ぐため「24時間換気システム」の導入が義務化されました。
高気密の住宅が多くなったことで、シックハウス症候群のリスクも高まったためです。
住宅における気密性の高さはメリットですが、反対にデメリットにもなり得ます。

高性能住宅にはメリットとともにデメリットも

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、高性能住宅のメリット・デメリットがご理解いただけたと思います。

断熱性・気密性・耐震性・耐久性の高い住宅は、快適な住まいとして人気が高まっています。
しかしメリットばかりではありません。
費用や換気の問題などのデメリットがあることも事実です。

オスモ&エーデルでは高性能住宅のデメリットについてもご相談いただけます。
住宅を建てたいと思われている方はぜひご来店ください。

[1]

参照:政府工法オンライン:節電をして電気代を節約しよう!手軽にできる節電方法とは?

[2]

参照:国税庁:No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)

[3]

参照:国税庁:(PDF)令和4年分認定住宅等新築等特別税額控除を受けられる方へ

[4]

参照:国税庁:認定長期優良住宅に対する税の特例