新築住宅の建設を考えている方に向けて、G1・G2・G3の基準を解説していきます。
「省エネ住宅を建てるならG2基準を満たすのが良い」と聞いたことがありませんか?
しかし「G2」の基準とはどのようなものなのか、ご存知ない方も多いでしょう。
そこでG2の基準についてご紹介していきます。
省エネ性能の高い住宅を建てたいと思われているなら、理想的な住宅を建てるための役に立つ記事となるはずです。

そもそも断熱性能とは何か

「断熱性能」とは、壁・床・天井・窓などの部分での、「熱の伝わりやすさ」のことです。
専門的には「熱貫流率」と「外皮平均熱貫流率」により性能が決まります。
外と接している部分では、熱が外から入ってきたり、外に逃げたりします。
断熱性能の高い住宅では、壁・床・天井・窓部分で、熱が移動しにくいことが特徴です。
それでは熱貫流率と外皮平均熱貫流率について、さらに詳しく見ていきましょう。


参考記事:なぜ戸建ての二階は暑いのか?原因と対策方法をご紹介!

U値(熱貫流率)

「U値(熱貫流率)」とは、部位ごとの熱の伝わりやすさを指します。
つまりドアや窓など、特定の部位からどれくらい熱が逃げやすいか、熱が移動しやすいかを示す数値です。
U値が小さいほど熱が伝わりにくく、断熱性能が高いと言えます。

UA値(外皮平均熱貫流率)

「UA値(外皮平均熱貫流率)」は、住宅全体からの熱の伝わりやすさのことです。
ドアや窓だけでなく、壁や屋根、床など、住宅全体から移動する熱の量によって決まります。
UA値も数値が小さいほど断熱性が高いことを示します。

HEAT20とは

HEAT20とは、「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」のことです。
これまで国からは、省エネ性能や断熱性能に関する基準が示されてきました。
しかしHEAT20では国の基準とは違い、「室内の体感温度」を重視しています。
推奨する住宅を実現すれば、冬の体感温度を10~15℃に保てるとされています。
HEAT20とは省エネについて検討する委員会のことであり、推奨する住宅の基準は国よりも厳しいものです。

断熱性能の3つのグレード

HEAT20では断熱性能として3つのグレードを提唱しています。
「G1」「G2」「G3」と、それぞれの基準について見ていきましょう。

G1

HEAT20の基準「G1」とは、次のようなものです。

【基準:冬の体感温度】

  • 北海道を主とする1・2地域:非暖房で冬場の最低室温が13℃を下回らないこと[1]
  • 北海道・沖縄以外の3~7地域:非暖房で冬場の最低室温が10℃を下回らないこと[1]

【基準:暖房負荷削減】

  • 北海道を主とする1・2地域:約10~20%削減[1]
  • 盛岡・青森などの3地域:約5~30%削減[1]
  • 北海道・盛岡・青森・沖縄以外の4~7地域:35~50%削減[1]

HEAT20における断熱性能は、地域によって基準が違います。
上記に記載した冬場の体感温度は、暖房をつけないときのそれぞれの地域における体感温度です。
以上のようにG1の住宅では省エネ性能を考慮し、以上のような体感温度と暖房負荷削減率を満たすことが求められます。

G2

それではHEAT20の「G2」の基準について見ていきましょう。
G2の基準を満たすのは、次のような住宅です。

【基準:冬の体感温度】

  • 北海道を主とする1・2地域:非暖房で冬場の最低室温が15℃を下回らないこと[1]
  • 北海道・沖縄以外の3~7地域:非暖房で冬場の最低室温が13℃を下回らないこと[1]

【基準:暖房負荷削減】

  • 北海道を主とする1・2地域:約35~25%削減[1]
  • 盛岡・青森などの3地域:約20~40%削減[1]
  • 北海道・盛岡・青森・沖縄以外の4~7地域:平成25年レベルとほぼ同等~50%削減[1]

ひとつ前の項目でご紹介した「G1」よりも、さらに基準が厳しくなったことがわかります。
しかし2023年現時点で、最も推奨されているのは「G2」基準を満たす住宅です。
北海道で暖房をつけず、冬場の最低室温が15℃を下回らない住宅は、かなりの断熱性を備えていることでしょう。
上記のように「G2」の基準を満たすと、冬でも暖房をそれほど必要とせず快適に暮らせるはずです。

G3

G3の基準はG2よりもさらに厳しいものとなります。

【基準:冬の体感温度】

  • 北海道を主とする1・2地域と鹿児島・高知などの7地域:非暖房で冬場の最低室温が16℃を下回らないこと[1]
  • 1・2・7地域以外の3~6地域:非暖房で冬場の最低室温が15℃を下回らないこと[1]
  • 鹿児島・高知などの7地域:非暖房で冬場の最低室温が16℃を下回らないこと[1]

【基準:暖房負荷削減】

  • 北海道を主とする1・2地域:約50~55%削減[1]
  • 盛岡・青森などの3地域:約45~60%削減[1]
  • 北海道・盛岡・青森・沖縄以外の4~7地域:40~55%削減[1]

G2よりもかなり厳しくなるため、建築コストも高くなると考えられます。
そのためこれから新築住宅を建てるなら、G2基準適合の住宅を目指すのが現実的ではないでしょうか。

HEAT20の住宅シナリオ

最後にHEAT20が描く、G1・G2・G3を達成した住宅シナリオについてご紹介します。

住宅シナリオ1:NEB

NEBとは室温のことです。
G1・G2・G3で求められる室温の基準についてはすでに解説しました。
現時点で理想的とされるG2の基準は、冬場に暖房をつけず、北海道で15℃、その他の地域で13℃を下回らないことです。

住宅シナリオ2:EB

EBは暖房負荷削減率のことです。
EBもグレードごとの解説ですでに解説しました。
G2の基準においては、北海道で50~55%削減、青森・盛岡で45~60%削減、その他地域で40~75%削減が目標です。

住宅シナリオ3:住宅水準

HEAT20の住宅シナリオでは、住宅水準の基準も定められています。
住宅水準とは外皮平均熱貫流率によるもので、G2の基準は次のとおりです。

【基準】

  • 北海道を主とする1・2地域と盛岡・青森などの3地域:0.28[1]
  • 秋田市からつくばなどの北関東まで:0.34[1]
  • その他の地域:0.46[1]

NEB、EBに加え、住宅水準も満たすことがG2の基準として求められます。

G2の基準を満たす住宅が理想の省エネ住宅

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、G1・G2・G3がご理解いただけたと思います。

HEAT20が提唱するG2の基準はこれまでと比べると厳しいものです。
しかしその分、実現できれば冬でも快適な生活が送れるようになるでしょう。
そしてコスト的にも負担がかからず、快適に生活できるレベルとされています。

オスモ&エーデルではG2に対応する住宅のご相談にも対応しています。
環境にも人にもやさしい、快適な住宅を建てたいと思われているなら、ぜひ一度お問い合わせください。

[1]

参照:20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会:HEA20住宅シナリオ