「高気密・高断熱」「夏涼しくて冬暖かい家」にご興味がある方だったら、「パッシブハウス」という言葉も聞いたことがあるでしょうか?

パッシブハウス(Passive house)とは、ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅のこと。
断熱性能に優れ、「夏涼しくて冬暖かい」という本来当たり前と思える要望を満たしてくれる快適な家です。

(左)ファブワークス中様、(中央)(右)お施主様ご夫妻

今回は、実際にパッシブハウスを建設されたお施主様と、工務店の株式会社ファブワークス様にもお話をうかがいました。

「パッシブハウス」に興味を持ったきっかけは何ですか?

私の実家が古い農家の集落でしたので大工仕事はすべて集落関係の人にお願いするという感じで、最初は、家を建てる時にどう考えてどう進めればいいのかというハウツーのようなものが全然分かっていませんでした。
建売と分譲の言葉の違いや注文住宅などの意味もよく分かっていなかったくらいです。
そこでまずは、ネット、本、YouTubeで情報収集をはじめました。
ハウスメーカーと工務店の違いはなんだろうと思い、各ハウスメーカーの情報を発信しているYouTubeチャンネルの動画もたくさん見ました。

情報収集をしているうちに住宅の性能にもいろいろあることがわかってきました。

特に断熱性能に興味があり調べていたのですが、ちょうどコロナ禍と重なり、建築家のユーチューバーがぐっと増えたんです。
有名な建築家が自分たちの家づくりをYouTubeで発信し始めたんですね。

その人たちの話を総合すると、日本の住宅の断熱性能は海外と比較して低いということがわかってきました。
資産としての住宅の評価額が低い日本の文化的背景を考えるとある程度仕方がないのかと思いながらもあまりにも性能が悪いのは良くないと思いました。
性能と価格のバランスを考えるとG1~G2ぐらいの性能(※1)がよいのではと考えるようになりました。
そこから性能の行き着く先はどこなのかを知りたくなり調べた結果がパッシブハウスでした。

そこからどのようにしてファブワークス様に依頼されることになったんですか?

作りたい家の方向性が決まったので、性能のいい家づくりの最先端をいくパッシブハウスジャンパンのホームページから対応エリアの建築家を調べました。
また、地域型住宅グリーン化事業(※2)の実績も重視しました。
そして耐震構造に強い工務店なども調べました。
何件かの工務店さんにお話をうかがいましたが、ファブワークスさんは家のことだけでなく住宅ローンのことなども含め、大変親身になって話をしてくださったので、帰りの車の中ではすでにファブワークスさんにお願いしたいと決めていました。

当初、予算内でどこまで理想の性能を追求できるのか不安ではありましたが、行けるところまでパッシブハウスを目指して進めようというところからスタートしました。
そして、パッシブ・ハウスジャパンの「建もの燃費ナビ」(※3)で調べながら、予算と質のバランスを重視して、検討を進めました。

ヴァレーマを導入した経緯をお聞かせいただけますか?

ファブワークスさんに最初にご相談させていただいた頃に、ちょうど新築物件が完成するということで見学させていただきました。
それまでヴァレーマの存在は知らなかったのですが、初めてヴァレーマを見て、ヴァレーマがある家にすると即決しました。
デザインの良さ、機能性など完璧だと思いました。

また、カーテンが要らない点も魅力でした。
窓の外にはシャッターか雨戸だと思い込んでいましたが、雨戸もいらない、カーテンもいらない、家の中から外の景色を眺めることができる一方で、外からの視線も気にならない。すごくいいなと。

住みはじめた当初は、一応心配なので、一度、外に出て、携帯で電話しながら今室内のどこにいるか夫婦で確認するという実験をしました。全くどこにいるのか分からなかったので、やはり外から室内は見えないんだと確認ができました。それからは、安心して使っています。

実際にパッシブハウスに住んでみていかがでしょうか。

家のことでとやかく悩むことがまったくないという快適さを知りました。
室内では寒いも暑いも全く感じない「不感」という言葉がいいのかわからないですが。
今までの人生の中でありえない経験です。

冬に、仕事に行く時に、玄関で靴を履いた瞬間に「あっ!上着忘れた!」なんてことが度々です。
家の中が快適なので、外が寒いという事を全く意識しないんですね。
庭の植木に雪が積もった日があったのですが、寒くないので、雪景色も最高でしたね。
その時の室温がたしか21℃ぐらいでした。

夜のヴァレーマはいかがでしょうか?

室内の光がどれほど漏れているのか気になったので実際に外から確認してみましたが、ヴァレーマ越しに漏れる室内の光がとてもステキだなと思っています。
リラックスするために少し籠り感があるように閉めたりもしますね。
寝室は寝るだけなので羽は半開きの状態にしています。
室内にカーテンがないので間接照明の光が直接ガラスに反射するのもステキで気に入っています。

冬のヴァレーマの使い方を教えていただけますでしょうか?

朝起きるとまずヴァレーマをすべて上げます。
冬は昼間のうちにできるだけ太陽の光を入れて、
部屋の中を暖めておきたいからです。

外出などで、一日ブラインドを全開にすることが難しい日は、
それでも、できるだけ太陽の光を入れたいので、スラットを上向きに開いた状態(上向きから3~4段階スラットを閉じた状態)にしています。

寝室の窓についているヴァレーマは全開にはせず、一定の角度(上向きから3~4段階スラットを閉じた状態)のままにしています。冬の場合、6時半くらいに明るくなってくるので、自然な太陽の光で朝起きています。

上向きから3~4段階スラットを閉じた状態に

窓際で過ごす時など、冬でも太陽の光が入ることで、暑すぎたり眩しすぎたりする時は、ヴァレーマを降ろして、スラット(羽根)の角度を調整し、居心地の良い状態にします。

その日の天気や気温とどのくらい暖めたいかによって、ブラインドの開け閉め、スラットの角度の調整でコントロールができる点がヴァレーマの魅力だと日々感じています。とても便利です。

冬に暖房はいつつけていらっしゃいますか?

暖房をつけない日もありますが、念のためにつけておこうかという感じで、夕方か夜10時頃、寝る前に暖房をつけて、朝に暖房を切るという感じです。

温かい家は体にもいいと感じています。
私は皮膚トラブルが多いのですが、この家に住んで、肘裏、膝裏、背中、首元の赤みがかなり減ったことを実感しています。

インタビューを通じて、建築家の中様とお施主様が互いに協力して、想いを伝えあって、このプロジェクトを進めたという感じが伝わってきたことがとても印象に残っています。 パッシブハウスの実現のために、現場のさまざまな局面で尽力された職人さんへの感謝の気持ちもたくさんお話してくださいました。
家づくりの理想形は、建築家とお施主様と現場の職人さんと、この一つのプロジェクトに関わるすべての人のコミットと共同作業なのだと改めて感じました。

※1 G1~G2の性能:低環境負荷・安心安全・高品質な住宅・建築の実現のため、主として居住空間の温熱環境・エネルギー性能、建築耐久性の観点から、外皮技術をはじめとする設計・技術に関する調査研究・技術開発と普及定着を図ることを目的として設立され団体HEAT20。
このHEAT20が提案する住宅外皮水準がG1~G3まである。G1よりもG2、G2よりもG3基準の方が高い断熱性能をもつ。

※2 地域型住宅グリーン化事業:平成27年度から始まった地域型住宅グリーン化事業とは、地域における木造住宅の関連事業者が「グループ」をつくり、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅の整備及び、これと併せて行う三世代同居への対応等に対して支援する事業で、その対象となる住宅を地域の工務店で建築した際に補助金の支給を受けることが出来る事業です。(「地域型住宅グリーン化事業採択グループ紹介・工務店検索」サイトより)

※3 パッシブハウス・ジャパン 「建もの燃費ナビ」:簡単な操作で入力した間取りや屋根と、計算に必要な情報を設定すると建物の燃費(=一次エネルギー消費量)をグラフなどを用いた分かりやすい提案シートを出力できる省エネ住宅設計支援ツールです。
https://passivehouse-japan.org/biz/tool/econavi/

 

■ TAKAO PASSIVE HOUSE(パッシブハウス認定予定)
お施主様のHPです https://onikupunipuni.com/

■ 設計・施工:株式会社ファブワークス
https://www.fabworks.co.jp/

■ 外付けブラインドヴァレーマ
スラット(羽根)・カバー等の色:RAL9007 ミディアムシルバー
https://osmo-edel.jp/product/warema/