みなさんは普段の生活の中で、部屋の外の陽ざしが気になる時どのような対策を考えますか?
日射遮蔽に有効なものとして、庇を取り付けるという考え方もあります。
今回は庇について掘り下げてみたいと思います。

庇とは

庇(ひさし)は窓や出入口(玄関・エントランス)の上部に設置される小さな屋根のことをいいます。
軒(のき)とは別物で庇が開口部上部の外壁から伸びているのに対して、軒は屋根から伸びるものになります。

庇の種類

陸庇(ろくひさし)

勾配が緩く下部が水平となる庇。近年多く見るのは陸庇です。

腕木庇(うできひさし)

柱にほぞ穴をあけ、腕木のほぞを差し込むことで固定するのが、腕木庇です。
日本の伝統工法や純和風建築でよく見られる庇です。

庇の材質

庇で使用される材質については、木製・アルミ製・ガラス製・ポリカーボネート製・ガルバリウム鋼板製の5種類が存在します。
強度があり錆びにくいことから、アルミ製が最も一般的に使われています。

庇の導入効果

庇は窓や玄関・エントランスの扉の上に取付けることで、直射日光や雨風を遮ります。
それでは、ひとつずつその特徴を見ていきましょう。

日射遮蔽対策

日光が直接部屋に入るのを遮ります。太陽光は、夏季は真上近くから差し込み、冬季は太陽高度が低くなるので、斜めから差し込みます。
庇があれば、夏季の真上からの太陽光の日差しは遮ることができます。
一方で、冬季の水平方向からの日差しに対しては十分に遮ることができません。

雨よけのため

庇があれば玄関前(エントランス)での雨を防ぐことができます。
また、窓を開けた状態で雨が降ってきても、窓の上に庇があれば部屋に雨が入り込みにくくなります。

外壁の汚れ対策

サッシ上部に砂埃等が溜まっていき、降雨時に雨に押し流され外壁をつたって落ちると、まれに、黒いライン上の汚れが発生することがあります。
開口部上部に設置される庇があると、サッシに砂埃等が溜まりにくくなります。
また、庇の「前勾配タイプ」は、降雨時に庇の前方から汚れが流れ落ちますし、「後勾配タイプ」であれば樋に集水され汚れが流れ落ちるため、外壁が汚れることが少なくなります。

ライトシェルフとは

ライトシェルフ(中庇)とは、窓面の中段に設置し、直射日光を遮蔽しつつ、窓の上部からは反射光を採り入れ天井面へ反射させることで室内を明るくする、日射制御と昼光利用を両立した庇のことです。
太陽光の明るさを室内へ取り入れることができることから、照明の消費エネルギー削減へ貢献したり、夏季は直射日光を遮蔽することで室温上昇を抑制し、冷房負荷を軽減します。

ZEBへの貢献~庇とライトシェルフと外付けブラインドについて~

近年では省エネへの取り組みとして、建物自体をエネルギー消費量の少ない形状にするパッシブ手法を採用し"省エネ化"することが求められています。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)(https://osmo-edel.jp/product/building-warema/zeb/)と呼ばれる、エネルギーを自給自足し、化石燃料などから得られるエネルギー消費量がゼロ、または概ねゼロとなる建築物の普及が望まれています。

出典:環境省ホームページ https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/06.html

ZEBへの貢献~庇とライトシェルフ~

庇やライトシェルフ、外付けブラインドによる自然採光や日射遮蔽は、ZEBへの取り組みに大きく貢献します。
庇は、基本的に動かすことができませんが、太陽高度や窓の高さを踏まえて、その長さをうまく設計することで、夏の太陽高度が高い日射は遮り、冬の太陽高度が低い日射は取り入れるようにすることができます。
ライトシェルフは、反射光を採り入れ天井面へ反射させることで部屋を明るくする、日射制御と昼光利用を両立した装置となります。

自然採光手法の例(ライトシェルフ)

出典:環境省ホームページ https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/06.html

ZEBへの貢献~外付けブラインド~

さらに、ZEBへ貢献するものとして、外付けブラインドがあります。
ブラインドは室内への直射日光を防ぐことを目的としたものですが、自然光を室内照明として取り入れる採光システムとしての働きも期待されています。
最近ではブラインドのスラットの角度を 1 枚ずつ最適に制御して、光を反射させることで、日射熱の侵入を防ぎつつも、効率的に自然光を室内に取り込む「グラデーションブラインド」等も開発されています。
グラデーションブラインドの「グラデーション」とは、スラットの角度が一段下がるごとに閉じていく仕様のことを表しています。
角度が一枚ごとに変わることで、外から室内に入る光はスラットの角度ごとに分散され、室内の奥まで光を採り込むことができます。
似たように、太陽光を反射させ室内を明るくするもので、ヴァレーマ社の「日射導入システム」があります。
下部のスラットが閉じている状態で上部のスラットは水平になり太陽光が天井に反射し室内を明るくします。
手元は直射日光が遮られ眩しさを防ぐことから様々な現場でご採用いただいております。

日射導入システム
https://osmo-edel.jp/wp/wp-content/uploads/solor_bringing_system.pdf
高砂熱学イノベーションセンター (TNK)
https://osmo-edel.jp/product/building-warema/fallstudie/case07/
三建設備工業株式会社 札幌支店
https://osmo-edel.jp/product/building-warema/fallstudie/case04/

最後に・・・

庇やライトシェルフについて、さまざまな特長をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
庇同様、ブラインドも年々進化を遂げており、従来よりも遮蔽や自然採光に優れた製品が登場しています。
省エネ対策として日射遮蔽や自然採光を目的とした時、どんなものがあるのか?
また、どのような効果があり、どのような検討をすればよいのか?
そういった疑問が生まれたら、まずはお気軽にオスモ&エーデルへご相談ください。
みなさまのより良い住まい作りや快適なオフィス環境へのご提案をさせていただきます。

 

オフィスビル等での採用をご検討の方はこちらもご覧ください

ビル用日射制御システム「ヴァレーマ」