認定こども園 恵光学園第一幼稚園は、新潟県新潟市にあります。
旧園舎の建替え工事にあたり、オスモ北欧パインフローリングをご採用いただいて、約1年が経過。園長先生と設計を担当されたワシヅ設計の小尾様にお話をうかがいました。
子どもたちへの想いにあふれる、園長先生と設計士様の建築の工夫とこだわりをいろいろと教えていただけました。

恵光学園外観

まず、設計の小尾様へ。今回の恵光学園第一幼稚園設計にあたりこだわったポイント、工夫された点について教えてください。

【ワシヅ設計小尾様】

まず、お施主様である恵光学園様からのご要望で、限られた敷地ではあるんですが、広い園庭と駐車場の両方を実現させたいというものがありました。
この課題を解決することは大きなテーマでした。プランも多数作成して園長先生初め先生方のご意見もうかがい進めていく中で、屋上園庭というプランが出てきました。
地面を優先するのはやはり駐車場しか考えられず、駐車場を確保すると園庭が作れない・・・このジレンマの解決のために屋上園庭をご提案しました。

ワシヅ設計小尾様

屋上に園庭を持ってくるというのは、最初は園長先生もあまりイメージができなかったと思いますし、子どもたちが遊ぶ場所ですので、クッション性の問題や新潟なので雪の問題、排水の問題など様々な課題をいろいろと知恵のある方にもご相談しながら検討を重ねました。

新屋上園庭の写真新しくなった屋上園庭

旧園庭旧園庭

もうひとつ、階段もポイントになっています。2階へと続く階段をどこに設置するかということも検討を重ねました。
園児の年齢に合わせて、いろいろと事情がありますので、園長先生と他の先生方の実務を踏まえたご意見をうかがいました。
加えて、旧園舎は平屋だったので、平屋ならではの同線の良さを意識して、旧園舎に近い使い勝手も考慮しました。
そうして決まったのが園のシンボルでもある虹の階段です。

虹の階段の写真

階段の色も当初は今のようなイメージではなかったのですが、園長先生のアイデアで虹色に彩色し、玄関ホールからまっすぐに2階へと続く虹色の階段になりました。
階段の踏み板に数字を入れて、数遊びというか階段の上り下りも楽しめる工夫がされています。

虹の階段の写真2

階段の蹴上部分も少しでも光が入るようにと思い、穴をあけるという工夫もしました。

その虹色にあわせて、階段の壁を緑色に、階段上には光を取り込むための空間を設け、その吹き抜けにネット遊具を設置しました。
虹の階段をのぼり、緑の吹き抜けを上がるとネット遊具があり、その先には明るい園庭が広がる・・・というストーリー性のあるつくりにすることができました。
見ているだけで全体的に楽しい空間づくりができたと思っています。
園長先生含め先生方、設計事務所、施工会社の非常に良い連帯感があったからこそ実現できた空間だと思います。

また、旧園舎の下駄箱や道具棚など、丈夫で趣のあるものを再利用することで、旧園舎の良さもうまくとけ込み、引き継げたのではないかと思います。
複合材だとどうしてもきれい過ぎて味気ない感じがしますから。

旧園舎から引き継いだ下駄箱旧園舎で利用していた下駄箱も、新しい園舎に合うようにカットして再利用されています。

旧園舎から引き継いだ椅子と収納こちらは、椅子と道具棚です。
良質な無垢材でできているからこそ丈夫で長く使えるのだという印象を持ちました。
古いものを大切にされる園の考え方とそれに応える建築のプロのハーモニーがステキです。



続いて、園長先生へ。今回、園舎を建て替えされることになった経緯を教えていただけますでしょうか。

【小林園長先生】

きっかけは、耐震性など、安全・安心面の強化をするという目的で建て替えを検討しはじめました。
旧園舎は約50年前に建てられた建物で、木造の味わいのある建物でした。
趣のある長い廊下が印象的で、写真家の方が写真を撮りに来られることもありました。
時代を感じる旧園舎には愛着があったのですが、今の時代にあった園舎にしたいということが建て替えの経緯です。

旧園舎旧園舎

新園舎新園舎

建て替えるにあたり、園としてのご要望はどういったものだったのでしょうか。

【小林園長先生】

まずは、さきほど小尾さんからもお話にあったように、限られた敷地の中で、広い園庭と駐車場の両方をどのようにしたらよいかとご相談しました。
他の専門家の方にもご相談していて、お手上げみたいな感じになってしまっていたのですが、ワシヅ設計さんが本当に何回もいろいろとご提案してくださって、ありがたかったです。
さらに、体操教室なんかもやっているのですが、そうしたお教室の時間以外も、園内で楽しく動いたり、遊んだりすることで、自然と子どもたちの運動量が増えるような園舎にしたいという思いもありました。
階段も、工夫をすることで、楽しみながら上り下りができるかなと。
ネット遊具も、ものすごい運動量になるんですよね。3歳児の子が以前は上に登れなかったのに、登れるようになったりとか。
園庭も楽しみながら走れるように、陸上トラックのようなサークルをつくってもらったりしました。

そういった想いを、虹の階段やネット遊具、屋上園庭で実現されたんですね。

虹の階段3

ネット遊具

屋上園庭の写真2虹の階段を上がると、ネット遊具があり、その先に屋上園庭が広がっています。

今回、オスモの北欧パインフローリングをご採用いただきました。採用に至るお考えをお聞かせください。

【ワシヅ設計小尾様】

先ほどのお話にもあったように、旧園舎が木造で趣のあるつくりだったので、その良い雰囲気を引き継ぐことができるよう、木のフローリングにしようと思いました。
床材については、いろいろとサンプルも取り寄せて、園長先生や他の先生方にも意見をいただいて、検討しました。
足にやさしい床材をという考えもあり、コルクの床材なども考えました。

いろいろ検討している中で、幼稚園・保育園の実例の多いオスモのフローリングにたどり着きました。
15㎜と21㎜の北欧パインフローリングの1mくらいの長さのサンプルを5~6枚いただいて、実際にフローリングを組んでみて、素足で歩いてみたり、飛び跳ねたり、自分でいろいろと体感してみました。
踏み心地に加えて、液体をこぼすなどして、撥水性の実験などもしてみた結果、園長先生にも満足してもらえるフローリングだと思いました。

廊下のフローリング写真

また、北欧パインフローリングは、経年変化が楽しめていいかなと。

実際に、毎日過ごしていただいていると、傷など気になる点は出てきているようなんですが、傷も含めて歴史というか味というかそういう考え方もあるのかなと。
逆に、ウレタン塗装などの通常の複合フローリングだと、もっと傷が目立ったり、メンテナンスが大変だったり、小さい子が飛び跳ねたりしても固い感じがしたりするのではないかと思っています。

1年経過してみて、もちろん、ささくれもないですし、節がとんだりとかということもなく、改めておすすめしてよかったと思います。

無垢フローリングを採用するということで、施工面での不安もあったのですが、最適な施工方法を確認させていただき、担当営業の方に施工業者様にもご説明に行っていただいたりしたので、安心して採用できました。

園長先生は、無垢フローリングを採用されるにあたって何かご心配だったことなどはございますか。
また、実際に北欧パインフローリングを使用されていて感想はいかがですか。

設計士さんが推薦してくださったものなので、特に事前に心配なことはありませんでした。
やわらかくてあたたかい感じがして良いなと。
小尾さんに飴色に経年変化するんですよと教えていただいてそれもいいなと思いました。

実際に、今、毎日過ごしてみて、やはり、あたたかいという感じがします。
子どもたちも、旧園舎の時と同じように思いきり遊んでいるという印象です。

ただ、実際に使ってみて、パインフローリングがやわらかい反面、子どもたちが固いものを落として傷がつくという心配は正直あります。
子ども達はフローリングに傷がつくことなど気にしませんから、大きな積み木などを引きづったり、飛び跳ねたりしますので。
傷がついてもきれいにメンテナンスが出来ることを知り、心強いです。
撥水性の高い塗装がしてあるということで、水をこぼしたり、子供たちが体調不良でもどしたりしても、次亜塩素酸での消毒もできるときいて安心しました。

とにかく子ども達が楽しく動きまわってくれているのが一番ですね。

その他、気に入っている点やこだわりのポイントがあれば、教えてください。

【小林園長先生】

あとは、このお部屋ができたことによって、以前からやっていた未就園児のお教室の回数を増やすことができたのもとてもよかったです。

未就園児のお教室にも使う部屋の写真こちらのお部屋で就園前のお子さんたち向けのお教室を週に1回開催しているそうです。

旧園舎と比べると、開放的で広々としたつくりになり、使い勝手も良くなりました。
防犯面でも安心できるつくりにしてもらった点もとても満足しています。

体操教室を開催したり、選挙の時など、地域の方に開放することもある、ホールの使い勝手も良くなりました。
ホールでは、さまざまな季節のイベントをするんですが、クリスマスツリーもつれるようにしてもらいました。

リボンツリー2恵光学園第一幼稚園のツリーは、「リボンツリー」といって
前の園長先生(小林園長先生のお父様)が毎年繰り返し使えるように
ということで作成されたオリジナルのツリーなんだそうです。

【ワシヅ設計小尾様】

お部屋のサインも旧園舎で使われていたものを使っているんですよ。

サイン

こういうのも設計士だけの考えだと思いつかないことも、園長先生や先生方がいろいろとご意見を出してくださったので、実現できたこともたくさんあります。

園庭のタイルは、パズル柄やハート柄。ここにも遊び心がつまっています。

パズル柄のタイル

ハート柄のタイル

インタビュー中に、「園長先生含め先生方、設計事務所、施工会社の非常に良い連帯感があったからこそ実現できた空間だと思います。」というお言葉があったように、お施主様である園の先生方と設計様との厚い信頼関係が印象的でした。
この園で生活する子どもたちへの熱くやさしい想いでできあがった素晴らしい建築を拝見させていただきました。

ホールでイベントトトロホールでのイベントの時の様子。トトロと北欧パインフローリングがマッチしているように思います。

トトロの時計こちらは、ワシヅ設計様と施工会社の本間組様から寄贈されたトトロの振り子時計。

認定こども園 恵光学園第一幼稚園のHPはこちら
https://kei-kou.jp/

株式会社ワシヅ設計のHPはこちら
http://washizu.co.jp/

オスモフローリングのその他の施設実績はこちら
https://osmo-edel.jp/product/osmoholz/education/