約300人あまりが暮らすベックシュタイン村があるのはドイツの南部。
ロマンチック街道沿い、タウバー川が流れる風光明媚なワインの街ラウダ=ケーニヒスホーフェン。
ベックシュタインは1894年に創立された100年以上の歴史を誇るぶどう栽培者協同組合。
国際的にも評価の高いバーデンワインを作るワイナリーとしてドイツ国内で数々の賞を獲得しています。

ワイナリーで初めて知った意外な事実。

こちらがワイナリーのミュージアムショップ。

お店に入ると出迎えてくれたのがワイナリーの責任者であるブラウン氏。
今回対面するのは2度目、1年ぶりの再会です。
彼はプレゼンテーションが上手く、とても気さくな人物。
まずはウェルカムドリンクでもという事で・・・

頂いたのはこちらの伝統的な製法で作られたスパークリングワイン。
瓶内で二次発酵させ、ルミアージュと言われる瓶口に澱を集める作業を行うシャンパーニュ製法と言われる製法だとの事。
非常に手間隙がかかる製法なんですね。
アルコール度数は12.5%ほどでコクがありとても飲みやすいワインです。
ちなみにドイツではスパークリングワインの事をゼクトと呼びます。

グラスの底から一筋に綺麗な泡が立つ。
きめ細かな泡が出るのはとても良いゼクトの証拠。
あまりにも同じ場所から綺麗に泡立つのでその理由を聞いてみたところ実はワイングラスの底にドライバーなどでわざと丸い疵を付けているのだそう。
その疵から綺麗に泡が出るって初めて知りました。

ドイツのワインセラーを見学

ワインセラーの内部は15℃程度と一定の温度を保っているそうで、壁の厚みを75cm以上と厚くすることで外気温に左右されないようにしている。
ちなみにこの部屋は2004年に作られ、地元の石を使い、人の手作業で全て作ったとの事。
※1904年にセラーを建造して以来、増築や改築が行われています。

これはまだ新しいワイン樽。
225リットルのワインが入るとの事。
「さぁこれからみなさんがこのワインを飲まれるとすぐに無くなるはずです。
準備は良いですか?」だって。
ブラウン氏はこのようなジョークが好きなんです。
※上段が新しい樽で下段が2年目以降の樽だそう。

ワイン樽に×印が付けられていますが、これは一年ごとにワインを入れ替える際に印を付けるのだとか。
この樽は3回ワインを入れ替えたという証。
樽は3年使ったら終わりなのだそうです。

お次は大きい方の樽。
「みなさんが一晩で飲むには少々手強い相手です。」だって。
2600リットルものワインが入り、ここから50km以内で採れる地元のオーク材を使っているとの事。
地元の素材に拘っているんですね。
そしてこの樽はベックシュタイン協同組合の設立100周年を祝って1994年に作られたもの。

ここで頂いたワインはバフース。
フランケン地方で有名なブドウ品種バフースの白ワイン。
シルヴァーナーとリースリングを交配したものに、ミュラー・トゥルガウを交配させて生まれたブドウ品種。
フランケンではシルヴァーナーもとても有名です。
「ん!タウバー地方なのに何故フランケンワインなの?」って思った方。
かなりの情報通ですね。
実はここ、タウバー・フランケンはその名にあるように18世紀以前はフランケン地方の一部だったのです。
なのでベックシュタインのワイナリーではフランケンワインしか使ってはいけないボックスボイテルのボトルの使用が法律によって認められているのです。
随分と説明が長くなりましたが、さて、バフースのそのお味はといいますと、少々甘口で独特の酸味があり、とても爽やかなワインでした。

ボックスボイテルとは

ワインセラー内のミュージアムには歴代のボックスボイテルのボトルが展示されています。
ボックスボイテルとはフランケン地方独特のボトルの事。
法律の国ドイツではワイン法でボックスボイテルの使用が厳密に定められています。
もちろん前述の通りベックシュタインのワインは法律によりボックスボイテルの使用が認められています。

これはここで展示されている最古のボトル。
1870年のボトルです。
時代によってボトルの首が長くなったり、短くなったり、大きさや形が微妙に変化してきました。
驚いたことに現在のボトルは1870年のボトル形状とほぼ同じ。
時代が一巡りしてまた元に戻ったのでしょうかね。

指を入れる凹みがある珍しいグラス。
さて、何故凹みがあるのでしょうか?
昔の人は手で食事をしていたため脂でグラスが滑ってよく落としたそうな。
グラスを落とさないために凹みに指を入れてフックを効かせる発想なんですね。
取っ手をつけるという発想はなかったのかな。

ベックシュタインワイナリー名物、巨大なワインホール。

これはワインセラー内にある巨大なパーティホール。
200人も入れるホールです。

ホールの奥に祀られているのは聖キリアン像。
7世紀にこの地にブドウ栽培を伝えたブドウ栽培者の守護聖人。
聖キリアンはフランケン地方で精力的にキリスト教の布教活動を行った人物。
ヴュルツブルクでは「聖キリアン祭」というワイン祭りが行われる。

ここベックシュタインのセラーも聖キリアンセラーと名付けられています。

新緑が美しいドイツのブドウ畑へ

「さて、ブドウ畑へはここから2時間ほど歩きます」ってまたまた冗談を言って嬉しそうなブラウン氏。
ブドウ畑はワインミュージアムのすぐ裏です。


ベックシュタイン村に広がるブドウ畑の風景。
新緑が目に鮮やか。
とても美しい光景です。

ブドウの木の特長を丁寧に説明くださるブラウン氏。
機械が入れない急勾配の畑なので全て手摘みで収穫をされています。

この樹で樹齢25年ほど。
二本の枝に分かれてそこからブドウの芽が誕生します。

これが約2週間前から伸びてきた新芽。
とても小さいですがぶどうの赤ちゃんが付いています。
ここから収穫が出来るまで成長するのに約4ヶ月かかるとの事。
9月、10月が収穫期です。
ベックシュタインは年間雨量がおおよそ500mmほど。
他の地域の年間雨量がおおよそ1000mmなので約半分程度です。
不足しがちな水はトラクターで運び、ホースに繋いで水やりをするのだそう。
※近くに溜池があり、そこから取水しています。
随分と手間暇がかかるんですね。
その分、太陽の陽射しをたっぷりと浴びた美味しいブドウが実るんです。

まとめ

見学終了後、またまた気前よくワインを振る舞ってくれたブラウン氏。
こっちも試して欲しい、あっちも試して欲しいと一同は赤ワインで乾杯をすることに。

いただきましたのはプレミアムワイン。
オーク材の樽で熟成させた辛口ワイン。
口あたりがよく、とても飲みやすいワインでした。

続いてはタウバー・シュヴァルツ。
ラベルにTROCKEN(トロッケン)と記載がございますがトロッケンとはドイツ語で辛口という意味です。
ステーキなどにピッタリのパワフルなワイン。

たまにはワインでも飲みながらドイツに想いを馳せてみるのもいいものですよ。
ベックシュタインのワインはオスモ&エーデルで。

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