COLUMN

ドイツに関すること

ノイシュバンシュタイン城、ロマンチストな城主の何とも悲しい物語

ドイツ観光の定番と言えばノイシュバンシュタイン城。
ドイツ南部のバイエルン州にあるこのお城は言わずと知れたディズニーランドのシンデレラ城のモデルとして世界中から観光客が訪れる人気スポット。
緑に囲まれたメルヘンチックなお城の佇まいに豪華絢爛な中世貴族への憧れを抱く人も多い事でしょう。
ですがこのお城のエピソードはちょっと悲しい物語なんです。
そんなエピソードを観光ガイドとともに紹介したいと思います。

ロマンチストな城主の趣味で築城されたノイシュバンシュタイン城

ミュンヘンから車で走ること約2時間。
ドイツ南部、牧場地を抜けると目の前に広がる緑が美しい山々。

その向こうには微かに雪を残した国境付近の巨大な山脈が見えます。

オーストリアとドイツとの国境をまたぐ巨大な山脈を背にして見えてきたのはノイシュバンシュタイン城。

駐車場で車を降りて、ここがノイシュバンシュタイン城の観光スタート地点。
「HOTEL MOLLER CAFE」
ここからノイシュバンショタイン城への移動手段はというと専用バス、もしくは徒歩、もしくは観光用馬車の3つ。
多くの観光客が専用バスで移動。
専用バスならおよそ5分程度で山を登り、ノイシュバンシュタイン城の近くまで運んでくれます。

HOTEL MOLLER CAFEから見上げるとホーエンシュヴァンガウ城。
ノイシュバンシュタイン城の城主ルートヴィヒ2世の父親が、12世紀に建てられた古城を改築して所有していたお城。
現在はホテルとして宿泊することが可能で、ここからノイシュバンシュタイン城を眺める部屋が人気だとの事。

そして振り返って対面に見えるのがノイシュバンシュタイン城です。
で、こちらのお城の築城はと言うとなんと19世紀。
日本が明治時代の頃。
なんとびっくり産業革命以後に築城されたお城なんです。
夢を壊してしまうのかも知れませんが実は歴史ある中世の建造物ではないのです。
また石造りではなく、鉄骨コンクリート造なのだとか。
伝統的な建築様式にも見えるこのお城には城主の並々ならぬこだわりがあります。
ルートヴィヒ2世は幼少期、多忙な両親にかまってもらえず読書に没頭。
古代神話や中世の騎士物語に熱烈な憧れを持つようになります。
またドイツの歌劇作家リヒャルト・ワーグナーをこよなく愛し、バイエルン王となったルートヴィヒ2世は膨大な費用を自分が好きな音楽と建築に注ぎます。
当時のバイエルンは戦争に負けたため、多額の賠償金の支払いを抱えており財政難に陥っているにも関わらず、
かねてから憧れだった中世の騎士物語の世界を再現すべくノイシュバンシュタイン城を含め豪華なお城や宮殿を次々と建築する訳です。

こちらが若き日のルートヴィヒ2世の肖像画。
類まれな美貌の持ち主で女性よりも男性がお好みだったらしい。

専用バスで移動すること約5分程度。
バスを降りて少し山を登ると見えてくるのがマリエン橋。

マリエン橋はノイシュバンシュタイン城の絶景を眺めるビュースポットとして有名で、橋の名前の由来は城主ルートヴィヒ2世の母親マリー・フォン・プロイセンからとられたもの。

谷底から約90mもの高さに架けられたマリエン橋。
ドイツのトラック自動車メーカー「MAN」社の前身企業が現在の鉄橋に架け直したらしい。

そしてこちらがマリエン橋からのノイシュバンシュタイン城の眺め。
ツアー会社のパンフレットなどでよく見る景観はここから撮影したものだったんですね。

橋から下を覗くと深い渓谷。

ノイシュバンシュタイン城は実は未完成のお城だった。

さて、マリエン橋を後にしてノイシュバンシュタイン城に向かいます。

お城をぐるっと回って入り口へと向かいます。

山道を抜けるとノイシュバンシュタイン城の全貌が眺める場所に到着。

ここからの眺めがまた格別です。

いよいよお城の門をくぐって敷地内へ。(この時は改修工事でした。)

ここで配られた入城チケットにはツアーナンバーと案内時間が記載されています。
445番で11時45分

観光客が多いノイシュバンシュタイン城では城内への入場に制限があり、30名ほどのグループごとで入場時間が決められているんです。
約5分刻みでグループに分けられている。

11時45分ジャストに入城開始。
入城へはチケットはもぎりじゃなくてバーコードを認識するデジタル式。
ちなみにお城の内部は撮影禁止。
リュックサックなど背中に背負っている荷物は体の前にするよう厳重に注意をされます。
ここからお城の3階まで登って行きます。
って言うのも、実は1階、2階は未完成の状態なんですね。
結局、城主ルートヴィヒ2世はこのお城の建築途中で他界するのです。
王座の間はあるのですがそこには王座はありません。
王座の後陣は金と象牙からつくられ、王座を取り囲む予定でしたが、王の死後、全ての工事は中止され未完のままとなります。
皮肉なことに現在では主人が座る王座のない立派な王座の間がある訳です。

城主の想いとは真逆となったノイシュバンシュタイン城

城内で唯一カメラ撮影が許可されているのがこのバルコニーからの眺め。

ルートヴィヒ2世の父親が所有するホーエンシュヴァンガウ城を見下ろす位置にバルコニーが設計されているのも、何かしらの城主の意図があったのでしょうか。
様々な建築に熱を入れたルートヴィヒ2世。
「狂王」、「メルヘン王」と呼ばれ、ますます自分の世界に引きこもるようになります。
そしてそれを危惧した家臣達はルートヴィヒ2世を精神病として廃位させる訳です。
廃位の翌日、シュタルンベルク湖でルートヴィヒ2世と医師の亡骸が発見され、未だにその死の原因は解明されておらず様々な説が語られています。
ルートヴィヒ2世は自分の死後、ノイシュバンシュタイン城を取り壊すように指示をしていました。
というのも彼はお城には選ばれた者しか入れないという考え。
彼の徹底した世界観を汚されるのを恐れたのかもしれません。
皮肉にも今では世界から年間100万人以上もの観光客が訪れる観光地となり、築城150年以上の時を経て、バイエルン州の重要な収益源として貢献するなんて。
ルートヴィヒ2世はあの世で今の現状をどのように思っているのでしょうかね。
何一つ城主の願いが報われていないという何とも悲しいエピソードです。

【あとがき】ルートヴィヒ2世の魂に呼ばれたのかもしれない

ノイシュバンシュタイン城を訪れ、ルートヴィヒ2世の話を聞いてから私はこの人物に隨分と興味を持つようになりました。
お城を訪れた翌日、ミュンヘン市内をカメラを持って散策していると、頭上でゴロゴロと雷の音が。
これは一雨降りそうな。
カメラが濡れると大変なのでホテルに戻ろうか思案している時、目の前の建物の扉が開き中から人が出てきた。
隙間からチラッと中を見るとどうやら誰でも入れる教会のよう。
ここなら雨をやり過ごせそうって事で中へ。

飛び込んだのは聖ミヒャエル教会。

なんとも偶然、ルートヴィヒ2世はこの教会に埋葬されたのだとか。
その棺が残っており見学することが出来るみたい。

これがルートヴィヒ2世の棺です。
1845年に誕生し1886年に死去。
40歳でこの世を去りました。

棺にはバイエルン王国の紋章が。
まさか雨宿りのつもりで入った教会でルートヴィヒ2世の棺を見ることになろうとは思いもしませんでした。
なんだか彼の魂に吸い寄せられたようで感慨深い。
彼が今のノイシュバンシュタイン城をどう思っているのかを知るすべはありませんが、時間を超えて今もバイエルンを支えているという事実。
死後もなおメルヘンチックな王様なんですね。

ドイツなんでも豆知識

ドイツへ何度も訪問した方は知っているかと思いますが、ドイツやヨーロッパでは外付けブラインドが一般的。
ブラインドを室内につけるのではなく、窓の外につけるのです。
そうすることで夏場の太陽の熱の侵入を防ぎ、室内の温度上昇を防ぐのです。
日本のよしずやすだれと同じ考えなんですね。
外付けブラインドってどんななの?
って興味を持った方は下記の記事がオススメです。
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