木造住宅に住んでいる方や、マイホームを検討していている方でよくあるのが「木材の外壁塗装のコツや具体的な進め方が分からない」という悩みです。木材は金属やコンクリートと比較して耐水性・耐久性・防腐性に劣るため、慎重に塗装作業を進めていく必要があります。

しかし、木材の外壁塗装で把握しておきたい要点を理解している方は多くはありません。納得のいく外壁塗装を実現するためにも、いくつかのポイントを押さえておくのが重要です。

そこで本記事では、木材の外壁をきれいに保つためのポイントや、外壁塗装の塗料などについて解説します。記事後半では、木材の外壁塗装で把握しておくポイントやおすすめの塗料もご紹介するので、外壁塗装をお考えの方はぜひ参考にしてください。

木材の外壁をきれいに保つためには?

木材の外壁をきれいに保つには、定期的なメンテナンスが欠かせません。ここでいうメンテナンスには、塗料の塗り替えなど大掛かりなものではなく、汚れやほこりを落とす簡単な掃除も含まれます。大掛かりな作業となる塗り替えの詳細は、後ほど詳しくご紹介します。

また、耐用年数の長い塗料を使用するのも重要です。こうした塗料を用いれば見た目を維持できるのはもちろん、長期的に木材を保護する効果も期待できます。

木材の塗装におすすめの塗料

一口に塗料といっても、その種類はさまざまでそれぞれで異なる特徴を持っています。木材を塗装する際は、以下のタイプがおすすめです。

  • 造膜タイプ
  • 浸透タイプ

それぞれのタイプの概要や特徴を詳しく見ていきましょう。

造膜タイプ

ペンキやニスなどに代表される造膜タイプは、木材の表面に塗料の膜(塗膜)を作りコーティングするような形で色付けるタイプの塗料です。水分や紫外線、汚れなどの外部刺激から被塗装物を保護する機能があります。

造膜タイプの塗料は、合成樹脂調合ペイント(SOP)と天然樹脂塗料に大きく分類できます。合成樹脂調合ペイントは油性調合ペイント(OP)の欠点を改良する形で誕生した塗料で、乾燥時間が短い点が利点です。天然樹脂塗料は環境問題や健康に配慮したタイプで、日本でも徐々に普及しつつあります。

造膜タイプの注意点は、塗膜が木材の伸縮に耐えられず割れやヒビなどが生じる可能性がある点です。長期的に使用するためには、塗装時に劣化被膜を剥離するなど下地処理を行う必要があります。

続いては、造膜タイプの仕上がりや効果、どこの塗装に向いているかなどを見ていきましょう。

仕上がり

造膜タイプの塗料の仕上がりは、艶の程度によって異なります。「上質な印象に仕上げるために光沢のある外観にする」「落ち着きを演出するためにマットな仕上がりにする」などのように調整が可能です。

また造膜タイプは後述する浸透タイプと比較して、カラーバリエーションが豊富です。お好みの色で木材を装飾できるため、納得のいく仕上がりとなるでしょう。ただし表面に塗膜を作るという性質上、造膜タイプの塗料を塗ると、木目や木の肌触りを感じ取ることは難しくなります。

効果

造膜タイプは木材の表面をコーティングして外部の刺激などから守ってくれるため、耐久性や耐水性、防腐性に優れています。木材自体を守れるため、浸透タイプと比較して頻繁にメンテナンスする必要はありません

どこの塗装に向いているか

先述した通り、造膜タイプは木材の表面に膜を形成するため、木材の肌触りや木目の模様は楽しめなくなる点が欠点です。その一方で外からの物理的・化学的刺激に強く、耐久性や耐水性には優れています。太陽光や雨風にさらされ、かつ木材の外観を特に考慮しなくてもよい箇所において、造膜タイプは特性を活かせるでしょう。

こうした箇所には、破風や軒天、鼻隠しなどが挙げられます。いずれもデザイン性がさほど重要視されないながらも、外壁や屋根の耐久性を維持するために大切な箇所です。木材の肌触りや見栄えを楽しむよりも機能性が優先されるため、造膜タイプがおすすめです。

浸透タイプ

浸透タイプは、塗料が木材の表面から内部に浸透する特性を持つ塗料です。浸透タイプの塗料は、木材の表面にただ単に膜を形成するのではなく、内側から木材を保護します。表面を厚くコーティングしない分、造膜タイプと比較して木の肌触りが残りやすい点がメリットです。

浸透タイプの塗料は大きく、石油化学合成による塗料と天然油脂による塗料に分類できます。石油系合成塗料には、木材保護着色塗料が挙げられます。防腐剤や防カビ剤などが含まれている木材保護着色塗料は、木材の持つ調湿機能を残しながらも、紫外線や雨風から保護してくれる点が特徴です。天然樹脂による浸潤タイプの塗料は石油系合成塗料と比較して耐久性は劣るものの、シックハウス症候群や環境問題に対する意識から、近年注目されつつあります。

詳しくは後述しますが、浸透タイプで塗装する場合は造膜タイプと比較して、定期的なメンテナンスが必要です。しかし造膜タイプと異なり重ね塗りができる分、劣化皮膜を剥がさなくてよいため、滞りなく塗装作業を進められます。

仕上がり

浸透タイプは、木材の表面を色付けるわけではなく塗料を内部に浸透させていくため、木目の美しさや肌触りのある仕上がりになります。自然由来の木材の感覚を味わいたい場合は、浸透タイプを選択するのがおすすめです。

一方で、艶の調整は難しくなります。「存在感と迫力を出したいので艶消し加工をする」「光沢を出して高級感を演出する」などを実現できにくい点は、念頭においておきましょう。

効果

木材の魅力を引き出せる浸透タイプですが、それだけではありません。浸透タイプは木材の内部に染み込むことで、防カビ・防腐・撥水などの効果をもたらします。

一方で、表面には被膜を張らないか、張っても薄い被膜であるため、造膜タイプと比較して耐久性は劣ります。浸透タイプを使用する際は、一定期間ごとに塗り直して補強しましょう。

どこの塗装に向いているか

浸透タイプは木材の性質をそのまま残せるため、「木材のオリジナリティを活かしたい」「個性を際立たせたスタイルを実現したい」などデザイン性や肌触りにこだわりたい箇所に使用するのがおすすめです。

こうした箇所には、縁側やウッドデッキ、軒裏や化粧屋根裏を美しく装飾する化粧垂木(けしょうたるき)、庇(ひさし)を支える柱などが挙げられます。もちろん建物の外側だけでなく、フローリングや木製家具、壁面にも塗ることが可能です。

DIYで外壁塗装はできる?

DIYで外壁塗装塗装はできる?

外壁塗装をDIYできれば、業者に依頼する費用を抑えられます。そのため、DIYで外壁塗装ができるか気になる方は多いでしょう。結論からお伝えすると、DIYで外壁塗装をするのは可能ですが、決して簡単な作業ではありません。DIYで外壁塗装する際は、以下に挙げる点に注意してください。

  • 高所での作業は安全第一で取り組む
  • 塗り方や道具にもこだわる
  • 専用の塗料を使う

それぞれのポイントをご紹介します。

まず重要なのが、高所での作業は安全第一で取り組むようにしましょう。屋根や天井など、場合によっては脚立や足場を組んで作業しなければなりません。安全管理が甘いと重大な事故につながる可能性もあるため、不安を感じる場合は業者に依頼するのも検討してください。

外壁塗装をDIYする際は塗料だけでなく、塗り方や道具にもこだわりましょう。いずれも、最終的な仕上がりに大きく影響します。具体的な塗装方法や道具を調べた上で、事前準備をしてからDIYに取り組みましょう。

また納得のいく仕上がりにするためにも、専用の塗料を使うのも重要です。木材塗装では、主に以下に挙げる専用塗料があります。

  • 木部用下塗り塗料:塗装作業で最初に塗る塗料
  • 木部用上塗り塗料:仕上げの色付けに使われる塗料
  • 特殊木部塗料:ウッドデッキ専用など、特殊用途に使われる塗料

塗料は溶かし方によって、水性・油性に分類できます。

木材の外壁塗装で把握しておくべきこと

木材の外壁塗装では、以下の点を把握しておきましょう。

  • 木は呼吸している
  • 塗膜が長くもたない
  • 下処理を忘れない
  • 太陽の当たり方を考慮する

納得のいく仕上がりにするためにも、そして木材を長持ちさせるためにもそれぞれの注意点を押さえておきましょう。

木は呼吸している

木材の外壁塗装でまず押さえておきたいのが、木は呼吸していると把握する点です。呼吸というと生物が行う酸素と二酸化炭素の交換をイメージするかもしれませんが、ここでいう呼吸とは周囲の湿度が高くなると吸湿し、反対に乾燥していると内部の水分を放出する調湿機能を指します。

快適な生活を送る上で役に立つ調湿機能ですが、外壁塗装ではやっかいな問題を引き起こします。木材は調湿する際に、水分を吸い込んだり吐き出したりして膨張と収縮を繰り返しており、これが塗膜剥がれやひび割れの原因となるのです。詳しくは後述しますが、塗膜剥がれやひび割れによりさまざまな問題が生じるため、定期的に塗料を塗り直すなどのメンテナンスをしましょう。

塗膜が長くもたない

先述した調湿機能により、木材は伸縮を繰り返しているため、基本的に塗膜は長持ちしません。セメントと砂を水で混合するモルタルや、近年外壁によく用いられるサイディングと比較して、木材の外壁塗装の寿命は半分程度とされています。

具体的には使用する塗料などにもよりますが、木材の外壁塗装は数年程度です。塗装してからこれくらいの年数が経つと、徐々に塗膜が剥がれたり割れたりすることが一般的です。

表面のコーティングが剥がれた木材は、水分を吸いやすく、腐食しやすい状態となります。放置すると修理代が余計にかさむのはもちろん、シロアリを寄せ付けてしまい被害がさらに拡大する可能性もあります。塗膜は長く持たないことを念頭におき、定期的に塗膜の状態をチェックしましょう。

下処理を忘れない

塗装作業では、いきなり塗料を塗り始めればいいわけではありません。まずは下地処理から行うようにしましょう。

塗装作業における下地処理とは、塗料がしっかり塗装面に付着するようにあらかじめ表面の汚れやサビをきれいに落とし、削って表面を平坦に仕上げる処理です。下地処理が最終的な仕上がりを左右するといわれるほど、重要な工程です。

下地処理が不十分だと、ひび割れや塗膜の剥離・膨れ、塗りムラ、サビの再発などさまざまな支障をきたします。塗料を長持ちさせるためにも、下地処理は入念に行ってください。

素材の種類や外壁の状態に応じて異なりますが、下地処理には被塗装物が木材の場合は以下の作業が挙げられます。

  • 高圧洗浄:ほこり・カビ・苔などの汚れを高圧洗浄機で除去する
  • ひび割れ補修:外壁のひび割れを補修する
  • 既存塗装除去:過去に塗装した部分を除去する

太陽の当たり方を考慮する

自然由来の木材は、コンクリートやモルタルと比較して紫外線が含まれる太陽光の刺激を受けやすくなっています。紫外線には、木材の成分を分解する作用があるためです。長期間屋外にある状態だと、変色や変形など劣化が進む点には注意してください。

劣化の度合いは太陽の当たり方に大きく左右されるため、直射日光が当たるウッドデッキや外壁などの定期的に状態をチェックしましょう。

木材の外壁塗装におすすめの塗料

ここからは、木材の外壁塗装におすすめの塗料「ウッドステインプロテクター」「カントリーカラープラス」の2つをご紹介します。

ウッドステインプロテクター

ウッドステインプロテクターは、植物油をベースにした浸透タイプの塗料です。高品質の顔料が含まれており、高温多湿な日本の気候にも適しています。ウッドデッキや木窓、木材の外壁などに塗布すると、美しい仕上がりとなるでしょう。

カラーはパインやマホガニー、パールグレーなどを含む、15種類以上がラインナップされています。

カントリーカラープラス

カントリーカラープラスは、沿岸部や山間部などの厳しい気候条件下でも優れた耐候性を持つ塗料です。紫外線にも強いため、直射日光が当たるウッドデッキなどにも使用できます。塗り替え時は手間のかかるサンディングは必要なく、上塗りするだけで作業は完了します。

カラーラインナップは、ホワイトやサンフラワー、ファーグリーンなどからなる全10種類です。

まとめ

本記事では、木材の外壁塗装で把握しておきたいポイントやコツなどをご紹介しました。木材の外壁塗装に使える塗料は、大きく造膜タイプと浸透タイプに分けられます。両者で向いている箇所が異なるので、仕上がりや効果などを把握してから選ぶようにしてください。実際に塗布する際はいくつか注意点がありますが、納得のいく仕上がりにするためにも、特に下地処理を行うことを忘れないようにしましょう。

オスモ&エーデルでは今回ご紹介した「ウッドステインプロテクター」や「カントリーカラープラス」に加えて、木材の装におすすめの自然由来の塗料、無垢フローリングなどを豊富に取り揃えています。理想のマイホームを設計する際や、DIYを楽しむ際にぜひチェックしてみてください。