自然由来の素材である木材には「軽くて丈夫」「断熱効果が高い」「燃え広がりにくい」などさまざまなメリットがあるので、家具や住宅の構造材、外壁などでの活用を検討している方もいるでしょう。

一口に木材といっても、その種類にはいくつかありそれぞれで特徴や性質が異なるため、活用する際はこれらを押さえておくのが重要です。

そこで本記事では、木材の基本知識や種類、特徴をご紹介します。木材の加工方法についても詳しく解説するので、家具選びやDIYの際の木材選びの参考にしてみてください。

木材とは?

木材とは

木材とは、森林で切り出された加工済みの材料で、セルロース・ヘミセルロース・リグニンなどの成分から構成されています。主に樹林の幹部分から得られる木材は、建築・土木・造船や家具の材料、紙・ダンボールの生産など幅広い場面で用いられています。材質によって性質や使われる場面が異なるため、各木材の特徴を理解することは木材を適材適所で活用するために重要です。各木材の特徴は、後ほど詳しくご紹介します。

自然にあるものからできている木材は、以下に挙げるような特徴があります。

  • 軽くて丈夫
  • 調湿機能がある
  • 断熱効果が高い
  • 燃え広がりにくい
  • 消臭・殺菌効果がある
  • 反射光を抑える
  • 音を吸収する

上記の特徴に加えて、自然由来なのでシックハウス症候群になりづらいなどのメリットもあります。

ちなみに、木材と似た言葉に材木があります。明確な違いがあるわけではありませんが、材木とは樹木を加工し一定の長さや大きさに加工したもののことを指すことが多いです。

木材の主な種類

木材は大きく分けて、針葉樹と広葉樹に分類できます。それぞれの特徴や性質を見ていきましょう。

針葉樹

針葉樹とは、その名の通り細長い針状の葉を持つ樹木のグループです。スギやヒノキを始めとした針葉樹は、主に寒冷な地域に生育しています。針葉樹は英語で「ソフトウッド(軟材)」と呼ばれることからも分かるように、比較的柔らかく加工しやすい点が特徴です。柱や梁など建物の骨格となる構造材や、持ち運びするインテリアなどに用いられています。

また針葉樹は、根で吸収した水分や栄養を運んだり、構造を支えたりする役割のある仮道管が平行に走っています。そのため木目は、まっすぐになりやすい点も特徴です。柔らかく加工がしやすい点がメリットですが、ビス打ちにより木材が割れる可能性がある点には十分注意しながら適材適所で活用しましょう。

広葉樹

広葉樹は、平たく丸みを帯びた葉を持つ樹木のグループです。基本的に暖かい地域で見られ、世界三大銘木に数えられるウォールナットやマホガニー、チークなどが広葉樹の一例に挙げられます。広葉樹は英語で「ハードウッド(硬材)」と呼ばれることからも分かるように、重くて傷がつきにくく丈夫な点が特徴です。一般的に、重厚感のある高級家具やフローリング、装飾性の高い内装材や化粧材などに用いられています。

広葉樹は針葉樹と異なり仮道管がランダムに走っているため、木材一つひとつが異なった表情を見せます。こうした違いを楽しめる点も、広葉樹の特徴といえるでしょう。

広葉樹は丈夫で長持ちする点がメリットですが、硬くて重い性質も併せ持つので、塗料が浸透しづらくDIYにはコツがいる点は念頭においてください。

木材の特徴

ここからは、木材の種類ごとの特徴を針葉樹と広葉樹に分けて詳しく見ていきましょう。

針葉樹

針葉樹は主に、以下の種類があります。

  • スギ

  • ヒノキ

  • 松(パイン)

  • ヒバ

  • ホワイトウッド

それぞれの特徴や、具体的に使用される場面などをご紹介します。

スギ

日本の代表的な樹種であるスギ(杉)は、比較的軽くて柔らかく、加工しやすい木材です。軽さと柔軟性がありながらも強度が高く、柱・梁などの建材、天井・床・壁などの内装材、タンス・テーブル・椅子などの家具などに加工されます。日本国内で自生している、かつ植林も盛んに行われているということもあり、安価で手に入りやすい点もメリットです。

またスギは気密性が低く、十分に乾燥した状態で加工すれば、湿度や気温の変動による変形が少ない材料としても知られています。こうした特徴もあるため、高温多湿になる日本でも木材の歪みや曲がりを気にせず長く使用できるでしょう。

見た目は、辺材の「白太」と心材の「赤身(あかみ)」で異なります。前者は白っぽく空間を明るく印象付ける効果を持ち、後者は赤っぽく強い香りがある点が特徴で。

ヒノキ

日本最古の木造建造物である法隆寺にも使われているヒノキ(檜)は、滑らかな触感と美しい木目が魅力的な木材です。経年により艶と味わいが深まるその高級感から、高い人気を誇ります。ヒノキは柔らかさを持ちながらも、高い耐久性と強度を持ちます。経年劣化による変質が少ないため、建築物の中心骨格となる柱や土台、梁などに使用されることが一般的です。耐水性や防虫性、殺菌効果も高く、長い期間同じ品質を保持して使用できる点も特徴です。

またヒノキの木材は落ち着いた香りを放ち、リラックス効果を与えるという特性も持っています。肌触りも柔らかいため、フローリングやヒノキ風呂、タンスなど人の肌と直接触れる場所でもよく使用されています。

松(パイン)

松は日本のみならず、世界中で使われている木材です。松を加工した木材は、パイン材と呼ばれます。松(パイン)には以下に挙げるようにさまざまな種類があります。

  • アカマツ
  • クロマツ
  • ベニマツ
  • カラマツ
  • レッドパイン
  • ホワイトパイン

松(パイン)は同じく針葉樹に分類されるスギやヒノキと比較してやや硬めですが、十分に柔らかく加工しやすいため、フローリングやDIYの材料として人気です。安価なので他の木材と比較して手に入りやすく、コストパフォーマンスにも優れています。

また松(パイン)には油分が多く含まれるため、経年劣化によりアンティーク調の色合いへと変化します。時間の経過と共に深まる味わいも楽しめるでしょう。

ヒバ

別名・アスナロ(「明日こそはヒノキになろう」という言葉が由来)とも呼ばれるヒバ(檜葉)は、スギやヒノキ、松と比較すると知名度は高くありませんが、ヒノキ科に属する日本の樹木です。津軽半島と下北半島に自然生育する青森ヒバは、秋田スギや木曽ヒノキと共に日本三大美林に数えられています。

ヒバは高い防腐性や防湿性を持ち、耐久性に優れている点が特徴で、日本では古来から神社や寺院、城郭建造物などに利用されてきました。

ヒバで特筆すべきは、ヒノキチオールと呼ばれる香り成分が多く含まれている点です。ヒノキチオールには防虫作用や抗菌作用の他、消臭作用があり空気を浄化しリラックスさせる効果もあります。

ホワイトウッド

ホワイトウッドは、北欧やロシアなどの寒冷地域で見られる針葉樹です。名前の通り、白っぽい見た目をしています。柔らかく加工しやすいため、内装材やDIY、家具など幅広い場面で使用されています。安価で手に入るため、コストパフォーマンスも抜群です。

ここまでにご紹介した国産の樹木と比較すると、防湿性や耐水性は少々劣ります。元々分布しているエリアが低温で乾燥しているためです。高温多湿な日本で内装材やDIYの材料とする際は、定期的にメンテナンスしましょう。

広葉樹

広葉樹は主に、以下の種類があります。

  • ナラ(オーク材)
  • ブナ(ビーチ)
  • ケヤキ
  • ウォールナット
  • マホガニー

それぞれの木材の特徴や、使われる場面などを詳しく見ていきましょう。

樺とは、北海道や本州北中部に分布している落葉広葉樹です。赤身が強いのが特徴で、桜樺とも呼ばれています。光沢のある木目と上品な木肌を持つ樺は、高級感を演出できる木材としてダイニングテーブルや椅子などの家具などに適しています。

また樺は自然由来の素材では珍しく、経年劣化による見た目の変化が少ない点も特徴です。経年劣化により色調の変化が気になる方でも、加工時の美しさを保つ樺であれば取り入れやすいでしょう。

ナラ・オーク

ナラ(ミズナラ)は北海道や本州、朝鮮などに分布している樹木です。特に北海道産が有名で希少性が高く、高値で取引されています。

一方でオークは、大きくホワイトオークとレッドオークに分類されます。アメリカ大陸やヨーロッパで広く見られる樹木です。

ナラとオークには上記のような違いがありますが、似た見た目をしており同じ用途で使われることが多くなっています。重厚感があるため、家具の素材として用いると部屋全体に高級感が生まれるでしょう。

ブナ(ビーチ)

ブナは北海道南部から本州、四国、九州にかけて広く分布する樹木です。世界中にも多くの種類が分布しており、ヨーロッパやアメリカ大陸に生育しているブナはビーチと呼ばれます。ブナは強度が高く、フローリング材や家具、楽器など幅広い用途に用いられています。

独特な模様の虎斑が特徴的なブナを取り入れると、部屋全体がスタイリッシュな仕上がりとなるでしょう。

ケヤキ

ケヤキ(欅)とは、北海道を除く本州や四国、九州に自生している広葉樹です。季節ごとに異なる姿を見せるケヤキは、日本では古くから建築物の材料に用いられてきました。ケヤキで特徴的なのは、強靭な耐久性を有している点です。経年劣化が少なく、長期間使用することができます。

西洋文化の影響で家具に用いられるケースは減りつつありますが、美しい木目を持つケヤキは家具材として高い人気を誇ります。

ウォールナット

ウォールナットとは、世界三大銘木に数えられる広葉樹です。深みのある褐色をしたウォールナットは、家具や建築などに幅広く用いられています。

密度の高い広葉樹であるため、耐久性や衝撃性に優れています。その一方で加工もしやすく、加工過程で生じる「反り」や「ねじれ」も少ない点がメリットです。こうした特徴は家具に加工しても引き継がれるため、ウォールナットでできた家具などは長期間使用できるでしょう。

ウォールナットは経年劣化により、黒さが落ち着き徐々にライトブラウンへと変化していきます。経年劣化による色調の変化を楽しめるのも、ウォールナットの醍醐味です。

マホガニー

マホガニーもウォールナットと同じく、世界三大銘木の一つです。原産地は中南米で「カリブの宝」と呼ばれるほど高級感のある木材として知られています。

マホガニーは、深みと艶のある美しい赤色が特徴的です。この赤みは経年劣化で深まっていくので、時の流れを実感しながら変化を楽しめるでしょう。また柔らかく加工しやすい特徴もあり、高級家具はもちろん、楽器や車のハンドルなど高級感を演出したいシーンで使われています。

木材の加工方法にはどのようなものがある?

木材の加工

木材は消費者の手に渡るまでに、何らかの加工が施されています。以下は木材の加工方法の代表例です。

  • 無垢材
  • 集成材
  • 合板

それぞれの加工方法を詳しく見ていきましょう。

無垢材

無垢材とは、樹木を切り出してそのまま直接加工した天然木の素材です。接着剤や塗装に化学製品を利用していないため、体に優しいのはもちろん、自然そのものを感じられる良さを感じられます。一つとして同じ木目は存在せず、素材ごとに異なる表情を楽しめる点もメリットです。

無垢材を使用する際は、温度や湿度の変化により膨張と収縮を繰り返すため、時として歪みや割れが発生するケースがある点には注意しましょう。

集成材

集成材とは、複数の木材を集めて接着剤などで貼り合わせて作られる木材です。節や割れなどを除いて加工されるため、品質や耐久性を一定に保つことができます。柱や梁、フローリング、家具など幅広い場面で使用されています。無垢材と比較してコストパフォーマンスにも優れており、実用的な素材です。

一方で無垢材と比較すると、耐用年数が短い傾向にあります。また化学製品を使って加工されている分、安全面でも無垢材に劣る可能性が考えられるでしょう。

合板

合板とは、複数を集めて接着剤などで貼り合わせて作る点で集成材と似ていますが、1枚1枚の木材の厚みや繊維の交わる方向が異なります。合板は数mm程度の木材を、繊維方向が直交するように重ね合わせて作られます。

そのため、合板は厚さの割には高い強度を有している点が合板の特徴です。湿度や温度の変動による膨張・収縮の度合いも小さく、屋根や住宅の壁などに用いられています。

製造過程が集成材と似ているため、無垢材と比較すると耐用年数が短い傾向にある点を認識しておきましょう。

まとめ

本記事では、木材の基本知識や特徴、種類などをご紹介しました。木材とは建築や家具の材料などに用いられる、樹木を切り出した素材です。「軽くて丈夫」「断熱効果が高い」「消臭・殺菌効果がある」などの特徴に加えて、自然素材なのでシックハウス症候群になりづらいなどのメリットもあります。

木材は大きく針葉樹と広葉樹に分けられ、本記事でご紹介した通り、さらに細かく分類できます。それぞれで特徴や性質が異なるので、家具選びや建築、DIYなどで木材を選ぶ際にはそれらを押さえおきましょう。

オスモ&エーデルでは、自然由来の塗料や厳選された良質な木材を使用した無垢フローリングなどを豊富に取り揃えています。理想のマイホームを設計する際や、DIYを楽しむ際にはぜひチェックしてみてください。