近年、音に関する周辺住民同士のトラブルが増えています。こうした背景にはライフスタイルの多様化や在宅ワークの普及なども関係します。自分や家族は周囲に対して迷惑になるような音を出していないと思っていても、近くで暮らす人にとっては騒音になっているケースも珍しくありません。

そこで大切なのが床の防音対策です。床の防音対策を行うことで、足音や物を落としたときに生じる音を軽減できます。騒音関係のクレームの中でも上階の足音や物を落とす音などが多いので、床の防音対策を行うことで音の問題を軽減できるでしょう。

本記事では床の防音対策が必要な理由を確認した上で、防音の対象となる音やフローリングに適した防音対策、畳に適した防音対策などについて解説していきます。

床の防音対策はなぜ必要?

フローリングの床は、カーペット貼りの床よりも音が響くといわれています。また集合住宅において住民同士で騒音が原因で訴訟が起こり、被害者側から損害賠償請求をされたというケースもあります。

快適かつノンストレスで暮らしていくためには周囲で暮らす人のことをお互いに考え、マナーを守ることが大切です。また自分や家族は気にならないような音であっても、他者にとっては不快に感じる音もあります。子どもがジャンプしたり、大きな家具を動かしたりする音は、他者からするとうるさく感じるかもしれません。

またご近所からクレームが一度でも入ると、自分や家族も音に対して極端に敏感になって気が休まらなくなるでしょう。自分も他者も快適な暮らしを実現するためには、床の防音対策を講じておくことが大切です。

防音の対象となる音は?

音にはいくつもの種類があり、それぞれの音によって防音対策の方法が異なります。そのためまずは、防音の対象となる音を知っておくことが大切です。床の防音の対象となる主な音として、以下の4つが挙げられます。

  • 軽量床衝撃音
  • 重量床衝撃音
  • 空気伝搬音
  • 個体伝搬音

軽量床衝撃音

軽量床衝撃音とは、床に軽く小さな物を落とした際に生じるコーンといった音や、スリッパを履いて歩いたときのパタパタという軽く高い音のことです。これらは日常生活において自然に生じる音であり、軽量床衝撃音を出さずに暮らすことは不可能に近いでしょう。生活する上で仕方ない音ではあるものの、音の頻度や大きさによっては周囲がうるさく感じることもあります。

重量床衝撃音

重量床衝撃音とはジャンプしたときに生じるドスンという音や、重く大きな家具などを落としたときのドカンといった音です。音のトーンは低いものの、軽量床衝撃音よりもボリュームが大きく、響きやすい傾向にあります。

空気伝搬音

空気伝搬音とは空気中を伝わって届く音のことで、飛行機の音や子どもの泣き声、話し声、テレビの音などが該当します。話し声やテレビの音など対策できる音も含まれますが、あまりにも意識しすぎると精神的に疲弊することもあるため事前の対策が必要です。

個体伝搬音

個体伝搬音とは振動が壁や天井などに伝わり、放射される音のことです。大型トラックが家の前を通ったとき床が揺れるのは、固体伝搬音に該当します。その他にも上階から聞こえる足音やエレベーター音、扉や窓の開閉の音、屋外の工事音も固体伝搬音の一種です。

フローリングに適した防音対策

防音マット

音が響きやすいといわれているフローリングですが、適切な防音対策を施すことによって音の大きさを軽減できます。フローリングに適した主な防音対策は、以下の3つです。

  • 防音カーペット
  • コルクマット
  • ゴムマット

防音カーペット

防音カーペットとは、その名称にあるように防音対策を目的としたカーペットのことです。

防音カーペットを敷くことは、自身でできるお手軽な防音対策になります。特に軽量床衝撃音を軽減するのに効果があり、子どもが積み木を倒す音やスリッパの音などの対策を施したい方におすすめできます。

またタイル状のものを選択すればおしゃれな室内になるだけでなく、汚れたり傷んだりした箇所だけ張り替えることも可能です。

遮音等級とは?

遮音等級とは、カーペットの遮音性能を示す基準となる数値のことです。遮音等級を使うことで客観的な数値によって遮音効果を比較できるため、防音カーペットを選ぶ際に参考にできます。生活スタイルや家族の年齢などによって、どの遮音等級のカーペットが適しているのか検討してみてください。

カーペットなどの床材の遮音性はL値で比較を行うのが一般的です。L値は本や食器などといった硬質で軽量な物体が床に落ちたときや椅子を動かしたときに発生する音など、暮らしの中で発生する音の遮音性を示しています。以下の表に遮音等級と音の聞こえ方などについてまとめたので、参考にしてみてください。

従来表示(推定L等級)

歩行などの足音

椅子の移動音・物の落下音など

生活者・プライバシーの確保

L-40

遠方から聞こえてくる程度

ほぼ聞こえない

物音が少し聞こえるが、ほとんど気にせず生活できる

L-45

聞こえるものの気にならない

小さく聞こえる

上階の生活音がやや気になる

L-50

小さく聞こえる

聞こえる

上階の生活音や状況を意識する

L-55

聞こえる

音が気になる

上階の生活状況がある程度分かる

※参考:日本建築学会住まいづくり支援建築会議情報事業部会. 「7.さまざまな環境-音」.  http://news-sv.aij.or.jp/shien/s2/mansion/sec2-7.html, (2023-12-16).

遮音等級とは検査機関で測定した数値であるため、客観的な数値として参考にできます。ただし人によって音の感じ方には差があるため「ほぼ聞こえない」「小さく聞こえる」に該当する遮音等級であっても、うるさく感じたり気になったりする場合もあるので注意してください。

また遮音等級が記載されていないカーペットでも、少なからず防音性があるケースが多いです。

コルクマット

階下に音が響くのを防止したい場合には、コルクマットがおすすめです。コルクマットとは表面が天然素材のコルクで、裏面がPE樹脂もしくはEVA樹脂という合成樹脂でできているジョイント式のマットになります。柔らかさのあるマットですので衝撃音を吸収し、音を階下に伝えにくくすることができます。

コルクマットの種類は豊富です。部屋全体に広く敷き詰めるタイプの製品だけでなく、複数のマットを組み合わせて作るタイルカーペットやジョイントマットもあります。タイルカーペットやジョイントマットであれば、特に音が気になる部分や防音対策を施したい部分にだけ敷くこともできます。さらに汚れた部分のみの取り換えもできるため、経済的で使いやすいでしょう。

ゴムマット

ゴムマットとはゴム素材を主原料としたマットで、滑り止めや防音、防振などさまざまな用途で使用されています。

ゴムマットには重量感があるため、空気を伝わる音を遮る遮音効果に優れています。さらに横揺れと縦揺れが入り混じった洗濯機から発するような鈍い音を抑えるのにも効果的です。室外機やマッサージ機のような振動、子どもがジャンプするときに生じる音などの対策を行いたい場合には重量感のあるゴムマットがおすすめです。

フローリングに防音対策をする際の注意点

フローリングで防音対策を行う際に、事前に押さえておきたい注意点があります。その一つは汚れの始末です。例えばコーヒーやミルクなどをカーペットにこぼしてしまうと、しっかりと拭き取らなければしみになります。またフローリングは乾拭きでも液体を容易に拭き取れますが、カーペットの場合は水拭きやしみ抜きなどが必要になることもあるでしょう。さらに場合によっては、しっかりと拭き取りをしたにもかかわらずしみとして残ってしまうこともあります。

またカーペットを選ぶ際に素材に気を付けなければ、夏場は暑苦しく感じることもあります。ナイロンやポリエステルなどの化学繊維を使用したカーペットは吸水性が低いため、ビニールシートを床の上に敷いたような状態になり、カーペットの上で寛げなくなります。夏も含めて通年で使用したい場合は、ウールやコットンなど天然素材のカーペットがおすすめです。

畳に適した防音対策

畳

 

畳はフローリングよりも音が響きにくい床材であるものの、防音性がないため対策が必要です。畳に適した防音対策として、主に以下の2つが挙げられます。

  • 防音マット
  • 防音カーペット

防音マット

和室に防音マットを敷くときは畳を外し、板張りの上に防音マットを敷いてください。マットを板張りの上に敷いてもあまり効果を感じられない場合は、畳を挟んで上下に敷くことで効果を高められます。また畳に防音マットを敷く際には畳の一部ではなく、部屋全体に敷くようにしてください。

防音マットには、さまざまな厚さの製品があります。厚さは5〜20mmと幅広いため、畳の下に敷くのに適切な厚さの製品を選びましょう。

一般的に防音マットを畳の下に敷くことが多いですが、畳の上に防音マットを敷くこともできます。この場合は、部屋の雰囲気やインテリアに合った製品を選ぶことで、部屋全体の統一感を保てるでしょう。防音マットは色や柄が充実しているので、カーペットのようにお好みに合わせて選んでみてください。

防音カーペット

畳の上に防音カーペットを敷くという方法もあります。ただし、人が防音カーペットの上を行き来していると、いつの間にか設置した位置からズレてしまうことがあります。防音カーペットを選ぶ際は滑り止めシートが付いている製品がおすすめです。

滑り止め機能がないカーペットの場合、滑り止めシートを別途使うという方法もあります。その他にも専用のカーペットピンを使用することでズレを防止できます。カーペットピンはホームセンターや100円ショップで購入できるので検討してみてください。

畳に防音対策をする際の注意点

防音カーペットは自身で簡単に行える防音対策ですが、畳にカーペットを敷くとダニやカビが発生しやすくなるため注意が必要です。カーペットをお手入れをせずに長期間にわたって敷きっぱなしにしていると、湿気が溜まり、ダニやカビの温床となります。

畳用のカーペットを選ぶ際には、防音性能だけでなく防ダニ・防カビ効果のあるものを選ぶようにしてください。また裏面に通気性に優れた素材が使われているかどうかも確認するようにしましょう。

またカーペットを敷いたら、カーペットを定期的に外して掃除します。畳に掃除機をかけてダニやカビのエサを吸い取り、畳の目に沿って乾拭きも行ってください。畳の上を水拭きする際には固く絞った雑巾で水拭きし、水気を残さないためにも乾拭きを行うようにしましょう。

その他にも窓を開けて換気を適度に行ったり、除湿器やエアコンの除湿機能で調湿を行ったりするのも防ダニ・防カビに効果的です。

まとめ

本記事ではフローリングや畳の防音対策についてご紹介しました。音の感じ方は人によってそれぞれなので、自分では大きな音を出していないと思っていても、足音や物を落とした音など他者にとっては悩ましい騒音であるというケースも少なくありません。騒音に関するトラブルは他者に迷惑が生じるだけでなく、自分や家族も音に敏感になって暮らすことになります。フローリングや畳には音に配慮した対策をすることで、お互いが快適に暮らせる環境を作ることができるでしょう。

快適に暮らせる家を提案しているオスモ&エーデルでは「オスモフローリング」というフローリングを取り扱っております。ドイツ製の無垢フローリングで、厳選された良質な木材を使用していますので、見た目にも美しく踏み心地の良さも特長です。一般的な無垢フローリングの厚さは12~15mmですが、オスモフローリングは21mmと厚みがあります。

オスモフローリングのもう一つの特長は、木を中から保護する「オスモカラー塗装」が施されている点です。オスモカラーは植物油をベースにした自然塗料なので、無垢材の持つ調湿機能をそのまま活かすことができます。木の呼吸を妨げないため、夏はさらっと快適に、冬は湿度を保って暖かい空間作りが可能です。保護性能も十分で、水や汚れからフローリングを守ります。

このようにオスモフローリングは、時を経るごとに美しく味わい深くなっていく、無垢材ならではの経年美化を楽しめる製品です。オスモフローリングの商品についてのご相談や資料請求は、公式サイトのお問い合わせフォームやお電話で承っております。ぜひ快適な家づくりにオスモ&エーデルの製品をご検討ください。