ドイツワインについて

ドイツワインの最大の魅力は、冷涼な気候で生まれるフルーティで繊細な味わい、そして豊かな酸と残糖の絶妙なバランスにあります。
世界におけるドイツのワイン生産量は第10位※ですが、各地で確固たる人気を確立しています。それは果汁糖度に基づく等級制度という独自のスタイルや
上級品が約95%※を占めるという高級志向など「ドイツワインの世界」が確立されているからです。(※2016年)
北国ドイツのさまざまな工夫
ドイツは世界のワイン産地の北限
北緯50度付近に位置するドイツは世界のワイン産地の北限になりますが、暖流などの影響を受け、年間平均気温が約10度の比較的温暖な気候の下でワイン栽培が可能になっています。高緯度の為に日照時間が短いドイツでは、良質のワインを造る為にさまざまな工夫がなされています。

自然条件を生かし、ぶどう畑の気候を温暖に保つ工夫
ドイツでは傾斜地でのぶどう栽培が盛んです。
傾斜面の畑は全く平らな畑に比べて15%以上の太陽のエネルギーを得ることが出来ます。(27~28度の傾斜面の場合)ドイツの多くのぶどう栽培地は河川沿いに位置します。それは日中は川面の照り返しにより、畑に日が差し、夕方になり気温が下がってくると暖められていた河川の放射熱により、一帯の温度を保てるからです。

ドイツの気候風土にあったぶどうの品種改良
ドイツでは古くから独自の技術力で、土壌や気候に合わせた絶え間ないぶどう品種の開発が行われています。
1882年にガイセンハイム・ブドウ栽培醸造研究所で開発されたミュラー・トゥルガウは最も古く、最も成功を収めた品種です。
白ワインと赤ワイン
ドイツワインといえば、甘口の白ワインのイメージを持っている方が多いと思います。しかしながら、実際の生産量は辛口の方が甘口より多くなっています。
また、全体の約35%※は赤ワインが生産されています。(※2016年)
酸と残糖の絶妙なバランス
冷涼な気候の影響でぶどうの果実は比較的ゆっくり成熟し、果実の酸が分解される工程もゆっくり進みます。その為、ワインには素晴らしい果実酸が残されます。
ドイツワインは豊かな酸と残糖の絶妙なバランスがあり、フルーティで繊細、非常に奥行きのある味わいになります。

ドイツワインの生産地域
ドイツには13のワイン生産地域があり、ベックシュタインはバーデン地域に属します。
バーデン地域は13ある生産地域の中で最南端に位置します。
約400kmに亘って細長く続く地域なので、特徴は一様ではなく、各地区ではバラエティーに富んだワインが造られています。寒いドイツの中でも太陽の光に恵まれ、年間平均気温は13の生産地域の中で最も高く、最も暖かい地域です。
またバーデンはワイン好きの土地柄で知られています。
バーデン地域は9つの地区に分かれており、ベックシュタインはタウバーフランケン地区No.1の生産量を誇ります。
ぶどう畑の栽培面積


ドイツワインの等級
ドイツは原産地制度とともに、果汁糖度に基づく独自の等級制度を確立しています。
フランス、イタリアなどの原産地制度とは異なり、土地や生産者に格付けはありません。
良いぶどうは土地に関係なく評価される平等主義が基になっています。
生産地限定格付上級ワイン<プレディカーツヴァイン>
13の指定地域で栽培されたぶどうで造られるドイツを象徴する高品質の上級ワイン。
このカテゴリーのワインは全て、補糖(※)は許されておりません。※補糖…アルコール分を高めるために蔗糖などの糖を醗酵前に添加すること。甘みをつけるためではない。
さらに収穫時のぶどうの糖度によって、
6種類に分けられています。
カビネットKabinett
最低エクスレ度 70~82以上
成熟したぶどうから造られた良質のワイン。
プレディカーツヴァインの中で、最も生産量が多くドイツワインを代表する格付けワインといわれています。カビネットとは「囲っておく(貯蔵しておく)」の意味で、18世紀にエーバーバッハ修道院の密室に貯えられた最上質のワインから由来した言葉。
シュペートレーゼSpätlese
最低エクスレ度 76~90以上
シュペートレーゼとは「遅摘み」という意味。
通常の収穫期より遅らせて、完熟させたぶどうを使用。
摘み取りを遅らせることは、天候の悪化や野鳥の襲来などのリスクが増しますが、糖度が上がりぶどうの成分が凝縮する為、より高級なワインを造る事が出来ます。
この手法は1775年にヨハニスベルクで発見されました。
アウスレーゼAuslese
最低エクスレ度 83~100以上
房選りの甘口ワイン。
収穫時にぶどうの房を選んで摘み取ります。その際、完熟していないぶどうの粒は、収穫時に取り除かれ、シュペートレーゼより甘さと香りが更に凝縮されます。
アウスレーゼは1787年にシュペートレーゼと同じくヨハニスベルクで発見されました。
ベーレンアウスレーゼBeerenauslese
最低エクスレ度 110~128以上
粒選りの極甘口ワイン。貴腐菌のついたぶどう粒や過熟したぶどう粒をより選って摘み取ります。フルーティで味わい豊かな極甘口ワインに仕上がりますが、手間やリスクも大きく、高価なワインです。
アイスワインEiswein
最低エクスレ度 110~128以上

天然状態で凍ったぶどうから造られたワイン。
早くて11月、通常は12月から翌年の1月まで摘み取りを遅らせ、厳しい寒さでぶどうが木についたまま氷結するのを待ちます。そして氷結すれば、すぐさま-7度以下の朝まだ暗いうちに摘み取り、凍ったままの状態でプレスします。
この様に造られたワインは天然に濃縮された極上の甘口ワインになりますが、毎年造る事は困難な為、希少性が高く高価なワインになります。
トロッケンベーレンアウスレーゼTrockenbeerenauslese
最低エクスレ度 150~154以上

世界3大貴腐ワインの一つ。
限られた良い気象条件の下でぶどうに貴腐菌(ボトリティス・シネレア)がつき、水分が蒸発して干しぶどうのようになった粒を選りすぐって収穫します。
それは琥珀色の芳醇な極甘口ワインとなります。
しかし、この様な自然条件が毎年整うわけではないので、まれにしか収穫する事が出来ません。希少性が高く、高価ですが、大変寿命が長いワインです。